当事業所では海洋・水産・気象関連のデータ処理・解析や数値計算やデータ図表化を主に行っていますが、他分野のデータ処理、諸計算・統計解析業務についてもお受け致します。個人やNPO、NGOのお客様も歓迎致します。各種業務の詳細については上のボタンをクリック下さい。

当事業所についてはここをクリック下さい

お問合せは
->こちらへ<-

このページでは海外の海洋を中心とした地球環境関係のサイトに発表された英文ニュース等の概略を、当事業所における英文和訳業務文献調査業務のサンプルとして、ご紹介しています。なお、各記事やその他の文書の全訳は有料(1000円/600語)にてお承り致します。詳細は->こちら<-迄お問い合せお願い致します。

このページの内容の無断転載はお断り致します。また、リンク先の記事の転載等についてはリンク先の団体にお問い合せ願います。

以下の各記事のタイトルは分野により、青色は海洋関連、水色は大気関連、緑色は陸上関連、橙色は産業関連のように色分けしています。タイトル部分の先頭の文字がRの場合は、ご紹介している記事の内容は主に特定の研究結果で、今後の研究結果次第ではその内容が否定される可能性もあることを示し、Dの場合はご紹介している記事は開発に関する内容で、Tの場合はRにもDにも該当しない内容であることを示します。これらの文字の次が○ではなく●の場合は、概略文を1-2文程度迄凝縮していることを示しますが、両者の差は記事の内容の情報性の大小や優劣等には全く関係ありません。タイトルの横の括弧内の日付は元の記事の発表の日付です。なお、最新のニュース及び過去の掲載ニュースの目次は-->こちら<--です。

2006年11月のニュース

Google
ウェブ全体 当事業所ホームページ

R●アメリカは20世紀後半と比較した過去5年間の北極域の状態の報告書を発表(2006年11月、アメリカNOAA)
アメリカのNOAA(アメリカの気象及び水産関連を含む海洋関連の大半の業務を担当する連邦政府機関)は20世紀後半と比較した過去5年間の北極域の環境状態に関する報告書を作成した。北極域では、地域的な差はあるが、20世紀後半と比べ平均より温度が高い状態が長期にわたって生じており、冬季及び夏季両季節での海氷面積の減少や広域における植生の変化等が生じている。
-->元の記事を読む(PDF形式の報告書のダウンロード可能)<--

R●土壌中の一部の炭素は1万年以上分解されずに存在(2006年11月24日、アメリカUW)
アメリカのワシントン大学のSmittenberg氏らが行った計測結果によれば、11,000年前に植物の葉を保護するワックス状の物質に含まれた炭素がカナダのブリティッシュコロンビア州の森林地帯の土壌には微生物に分解されずに残っており、Smittenberg氏によればこのような形での炭素の土壌中の滞留期間は1~10万年になるかもしれないとのことである。なお、従来はこのような種類の土壌中の炭素含有物は1000~10000年程度で微生物に分解され、2酸化炭素として大気に放出されると考えられている。
-->元の記事を読む<--
-->Science誌掲載の論文(report)の要旨を読む<--

R●強い波による珊瑚の破壊を数値モデル化(2006年11月22日、アメリカUCSB)
地球温暖化により、今後ハリケーンや台風等の嵐の強大化が起きるという推測があるが、これに伴う強い波浪や高潮、又は、地球温暖化には無関係ではあるが、津波によって珊瑚が海底から引き剥がされ珊瑚礁が破壊される恐れがある。これに対しカリフォルニア大学サンタバーバラ校のMadin氏及びオーストラリアのジェームズクック大学のConnolly氏は、強い波浪が珊瑚に与える影響を調べるために、複雑な珊瑚の形と大きさを単純なスケールに変換し、波浪によって珊瑚に加わる外力を計算するモデルを作成し、その結果をオーストラリアのグレートバリアリーフでの観測と比較したところ、両者はよく一致したとのことである。Madin氏によると最も脆弱な珊瑚はテーブル珊瑚で、また、波浪の影響は珊瑚が珊瑚礁内のどの位置にあるかによっても異なるとのことである。ただし、波浪によって珊瑚が一度破壊されても、珊瑚は回復するので、嵐の強大化そのものは必ずしも珊瑚礁にとって脅威にはならないかもしれないが、地球温暖化に伴う海水の酸性化や珊瑚の白化、その他過剰漁獲による悪影響などで珊瑚の回復能力が阻害される恐れはあるとのことである。
-->元の記事を読む<--
-->Nature誌掲載の論文(Letter)の要旨を読む<--

R●森林破壊の抑制のためには、経済補填が有効(2006年11月17日、アメリカ WHRC)
アマゾン地域の森林は、農業利用の拡張による森林破壊に気候変動による干ばつが重なり、深刻な危機にさらされており、また、アマゾンの熱帯雨林の破壊は気候変動を加速するという悪循環が生じているが、これに対し、アメリカのウッズホールリサーチセンター、ブラジルのAmazon Institute of Environmental Research及びFederal University of Minas Geraisの研究者達は、開発途上国の森林破壊の抑制のためには、United Nations Framework Convention on Climate Change(UMECCC)に沿って熱帯雨林からの温暖化ガスの排出を抑制する国々に対し、それに伴う経済的損失を補填することが最も有効であるとする報告書を提出した。
-->元の記事を読む<--
-->報告書(pdfファイル)をダウンロード<--

R●山火事は北半球の冷却化につながる(2006年11月16日、アメリカ UCI)
近年増加傾向にあるアラスカや、カナダ、シベリアといった地域の山火事は地球温暖化につながると考えられているが、アメリカのカリフォルニア大学アーヴァイン校のRanderson氏によれば、山火事発生現場では樹木が焼けたために太陽光が地表でより反射されやすくなり、このため地球全体では山火事による温暖化の影響は概ね打ち消され、北半球では逆に冷却化につながる可能性があるとのことである。同氏はアラスカ中部で発生した山火事の影響について調べたが、山火事発生直後は大量の地球温暖化ガスが大気に排出され、オゾン量は増加し、山火事によって発生した灰が遠く離れた海氷やグリーンランドの氷床の上に降り積もることによって太陽光の吸収が増加し、これらによって温暖効果が生じるが、火災発生の次の春には火災現場付近では樹木が焼けたことによって太陽光が雪の積もった地表にまで達するようになり、このため太陽光の反射が増加し冷却効果をもたらす。また、火災発生後数十年間の森林が再生する期間では最初は淡い色の落葉樹が茂るようになり、これらの木々が冬季に落葉すると、太陽光の反射率の高い雪面がさらされるようになり、また、若い木はより多くの2酸化炭素を吸収するので、冷却効果をもつ。火災発生後80年ほどで針葉樹が落葉樹に取って代わるようになり、生態系は火災前の、温暖化にプラスにもマイナスにもならない状態に戻るとのことである。
-->元の記事を読む<--
-->Science誌掲載のreportの要旨を読む<--

R●大気中のメタン濃度の増加が頭打ちに(2006年11月16日、アメリカ UCI)
1978年から1987年にかけては大気の対流圏中のメタンは年1%以上増加していたが、アメリカのカリフォルニア大学アーヴァイン校の研究者が行ったアラスカ北部からニュージーランド南部にかけて採取した0mの高さの大気のサンプルの計測結果によると1998年12月から2005年12月の期間ではメタンの量の変動は年間0.2%の減少から0.3%の増加の範囲で、大気中のメタンの増加は頭打ちになったのではないかとのことである。メタン濃度増加が抑制された原因は石油やガスのパイプラインや貯蔵施設からの漏れの防止や石炭採掘場、水田や天然ガス精製所からのメタン排出の抑制等が考えられる。なお、この期間内に生じたメタン濃度の短期的な増加は石油精製や山火事の際に発生するエタンの短期的な増加の時期と一致しており、大規模な山火事がメタン排出源になっていると推定されている。
-->元の記事を読む<--

T●来年のアメリカのメチルブロマイド使用量(200611月13日、アメリカEPA)
アメリカはニューデリーで開催されたモントリオール議定書締結国会議で、2008年にメチルブロマイドを1991年の使用量(25,528トン)の21%使用することが認められた。なお、オゾン層破壊物質であるメチルブロマイドは、代替品を使用することが技術的または経済的に困難な場合はその使用を認められおり、現在では農業やコンテナの燻蒸等などに用いられている。
-->元の記事を読む<--

R●森林資源が増加する国が増える(2006年11月13日、フィンランド ヘルシンキ大)
フィンランド、中国、スコットランド及びアメリカの森林学、経済学やその他の分野の研究者達は、国連のFAO(Food and Agriculture Organization)が発表したGlobal Forest Resources Assessment 2005のデータを用いて1990年から2005年の期間での世界50ヶ国における森林の面積及び密度、木材として利用可能な樹木の体積、バイオマス及び森林域に蓄えられた2酸化炭素の量の変化について調べたが、その結果によると、カナダを除くGDPが4600米ドル(概ねチリのGDP)以上の国々では森林面積や密度等を考慮した森林資源量が増加しており、ブラジルやインドネシアといった国々では森林破壊が森林の再生を上回っているものの、都市部への人口移動、農業生産技術の向上に伴う単位面積当たりの収量の増加(耕地面積の減少)や植林政策などにより、インドでは森林の破壊と再生が同じ位になり、中国では森林資源が増大しているというように、森林破壊から植林に移行する国々が増加しているとのことである。なお、日本については森林面積は第二次世界大戦後ほとんど変化していないが、森林の密度は増加しているとのことである。
-->元の記事を読む<--
-->Proceedings of the National Academy of Sciences誌掲載の論文全文を読む<--
-->KCRWのTo the Pointで放送された関連番組を聞く(ポッドキャスト;通常のPCでも聴取可)<--
-->FAOのGlobal Forest Resources Assessment 2005のページへ移動<--

T●EEAはヨーロッパの森林の分類を3種から14種に増やすことを提案(2006年11月10日、ヨーロッパEEA)
ヨーロッパでは現在森林の分類は落葉樹、針葉樹及びその混合という3種でしか行っていないが、森林の生態的な状態を詳しく把握し、管理するためにヨーロッパのEuropean Environment Agency(EEA)は森林の分類を14種に増やすことを提案した報告書を作成した。
-->元の記事を読む<--
-->報告書がダウンロード可能なページに移動<--

R●火山ガスによって成層圏中のオゾンが破壊(2006年11月8日、イギリス ケンブリッジ大)
従来は火山の噴火により排出された2酸化硫黄ガスより生じる火山性硫黄微粒子による気候への影響が注目されていたが、この程アイスランドの火山の噴火を研究しているイギリスのケンブリッジ大学及びオックスフォード大学の研究者達は、成層圏にまで達した火山ガスがそこで氷や硝酸の微粒子を形成し、これらの微粒子によって火山性の塩素ガスが成層圏中のオゾンの破壊を引き起こす可能性があることを示した。なおこのメカニズムによる小規模なオゾンホールの生成は、比較的小規模な噴火でも発生するとのことである。
-->元の記事を読む<--

R●植物プランクトンが排出するイソプレンにより雲が増加(2006年11月7日、アメリカ ジョージア工科大)
ジョージア工科大学の研究者達は、南大洋(編注:南極を中心とした南太平洋、インド洋及び南大西洋を含む海域)での植物プランクトンの大量発生(ブルーム)が起きた海域の上空で生じた雲の増加は、植物プランクトンが排出したイソプレンの酸化により生じた大気中の微粒子が雲の微粒子の増加に寄与した結果によるとの仮説を発表した。従来から、植物プランクトンが排出する硫化メチル(dimethyl saulfide; DMS)は硫化物の微粒子の増加を介して雲の生成に影響を与えるという仮説があるが、同じく植物プランクトンが排出するイソプレンの酸化により生じた大気中の微粒子は、粒子のサイズおよび量を増加させ、化学的により湿気を吸収させることによりDMSの効果を増加させる可能性があるとのことである。また、この雲の増加により生じた太陽からの入射光の減衰は非常にひどい大気汚染と同等程度であるとのことである。なお南大洋上空の大気はほとんど汚染されておらず、通常は雲が生成できるような微粒子は少ない。
-->元の記事を読む<--
-->Science Express掲載の論文の要旨を読む<--

R●40年前に発見された技術で木材のセルロースを分解(2006年11月6日、アメリカISU)
アメリカのアイオワ州立大学のVerkade氏は、40年前に偶然に木材を溶かす溶液を発見し、大学当局に特許を取得するよう働きかけたが、当時はそのような技術には大学当局は興味がなく、特許が取得されることもなく放置されていたが、近年代替燃料として木材のセルロースを分解してエタノールを精製することに関心が集まるようになり、Verkade氏及びその他の研究者はこの化学溶液についての研究を再開したとのことである。
-->元の記事を読む<--

T●アジア開発銀行が「メタンを市場に」パートナーシップに参加(2006年11月3日、アメリカEPA)
アジア開発銀行は、メタンをエネルギーとして利用することを目的とし、アメリカが2004年に始めた「メタンを市場に」パートナーシップ(Methane to Markets Partnership)に参加することになった。なお、世界銀行もこのパートナーシップに参加している。
-->元の記事を読む<--
-->「メタンを市場に」パートナーシップのページへ移動<--

R●漁業資源は2050年迄に危機的状態に(2006年11月3日、カナダ ダルハシ大)
カナダのダルハシ大学のWorm氏を中心とした生態学者や経済学者が種々の観測や実験結果のデータ及び漁獲等のデータを用いて行った研究によると、種の多様性の喪失により、海洋の海産物生産量、疾病に対する抵抗力、過剰漁獲や気候変動のようなストレスに対する抵抗力や汚染物質の除去能力が減少しており、現在の傾向が続けば現在漁獲されている漁業資源は、2050年迄に危機的状態に陥るとのことである。また、このような状況に対処するためには、資源保護は特定の種のみを対象にするのではなく、種の多様性を保つために生態系全体を対象にすべきであるとのことである。
-->元の記事を読む<--
-->Science誌掲載の論文の要旨を読む<--
-->Science誌発行元のニュース記事を読む<--

R●ハワイの海洋保護区で放棄された網等の海中のゴミを撤去(200611月2日、アメリカNOAA)
アメリカの連邦政府機関であるNOAAは、最近ハワイに設定されたNorthwestern Hawaiian Islands Marine National Monumentという保護区の環礁の海中から13トン以上の放置網を回収した。なお、ハワイは北太平洋全体を循環する流れの流域の中にあり、そのためゴミが漂着しやすく、年間52トン以上のゴミが漂着するとのことである。
-->元の記事を読む<--
-->Northwestern Hawaiian Islands Marine National Monumentのホームページへ移動<--
-->NOAAの海洋ゴミに関するプログラムのホームページに移動<--

R●異なるグループの絶滅危惧種の分布域は一致しない(2006年11月2日、イギリス ロンドン大学)
地球を100km四方のグリッドに分割し、それぞれのグリッドに生息する哺乳類、鳥類や両生類といった種々のグループに属する動物の分布図を作成し、これらのグループに属する絶滅危惧種が生息する地域を調べたところ、ある特定のグループに属する絶滅危惧種が生息する地域は別のグループに属する絶滅危惧種が生息する地域と必ずしも一致しないことがわかった。これはそれぞれの絶滅危惧種が絶滅の危険に晒されるようになった原因が異なることによると推定されている。従来はある特定のグループに属する絶滅危惧種が生息する地域を保護管理すれば、別のグループに属する絶滅危惧種の保護もできるというように考えられてきたが、この結果によれば、このような考え方は通用しないことになる。
-->元の記事を読む<--
-->ミシガン州立大学の関連記事を読む<--
-->Nature誌掲載のLetterの第一段落(要旨)を読む<--