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2006年6月のニュース

R○クラゲのような透明な生物が海洋中の2酸化炭素に重要な影響(2006年6月30日、アメリカWHOI)
アメリカのウッズホール海洋研究所及びコネティカット大学の研究者によると、サルパと呼ばれる群生の親指大の半透明な原索動物(元の記事に写真有り)が、海洋の2酸化炭素を深海に保持することに重要な寄与をしているかもしれないとのことである。海洋は大気中の2酸化炭素を吸収するが、この2酸化炭素は光合成の過程で植物プランクトンに取り込まれ、これはさらに動物が植物プランクトンを捕食した際に動物に取り込まれる。大半の2酸化炭素はこれらの動物の排泄物や死骸より溶け出して再び海洋に戻り、その一部は大気に戻る。サルパは夜間は表面近くに迄上昇して植物プランクトンなどを捕食するが、昼間は600-800mの深さ迄下降するが、このような深さで排泄物を排出した場合はこれらの排泄物が他の動物に捕食されることはあまりなく、サルパの排泄物は1日に1000mと非常に速く沈降し、また、サルパの死骸も1日に最大475mという速さで沈降する。このため、サルパに取り込まれた2酸化炭素は海底迄沈降し、そこに保持されると考えられる。大西洋で行われたある観測航海では、10万平方kmの海面を覆うサルパの群が観測されたが、研究者はこの群れによりこの海洋表層の植物プランクトンの最大74%が捕食され、1日あたり最大4000トンの炭素が深海に運ばれたと推定し ている。なお、南大洋ではサルパは海氷の少ない暖かい年に豊富との報告があるが、もしそれが真実であれば、サルパは南大洋の植物プランクトン及び生態系に大きな影響を与えているかもしれないとのことである。
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T○インド洋の津波早期警報システム稼働開始(2006年6月30日、アメリカNature誌)
UNESCOによって、地震計のネットワーク、インド洋上のブイおよび海底に設置された圧力計(編注:海面の波は海底で圧力変化として計測できる)からなるインド洋の津波早期警報システムが設置され、稼働を開始した。取得されたデータはリアルタイムでハワイ及び日本の津波警報センターに送られ、津波を発生するような地震が発生した場合はインド洋周辺の24ヶ国に警報が伝えられる。しかし、これらの国々の内部で、関係機関から実際に沿岸地帯に居住している人々への連絡方法・手段の確立は不十分であり、また、津波発生警報が出た場合の避難の重要性に対する教育や、避難ルートの表示などについても整備される必要がある。なお、ソマリア、イエメン、サウジアラビア及びアラブ首長国連邦の4ヶ国はまだこのシステムに接続されていない。
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T○アメリカ自動車動力用以外の動力用ディーゼルエンジンの汚染物質排出規制を強化(2006年6月29日、アメリカEPA)
アメリカEPAは発電機、ポンプやコンプレッサー等に用いられているような自動車動力用以外のディーゼルエンジンの新規生産品に対する亜酸化窒素、浮遊粒子、亜硫酸ガス、一酸化炭素及び炭化水素の排出規制を発表した。この規制は3段階に分けられ、最初の段階の規制は2007年に実施され、最終段階は2015年に実施されるが、その時点でこの規制は81500台のディーゼルエンジンに適用され、年間68000トンの大気汚染物質が削減されるとEPAの見込んでいる。
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R●未来の温室効果ガスの環境下では農作物生産量は減少(2006年6月29日、アメリカ イリノイ大学)
アメリカのイリノイ大学の研究者は、解放環境下の農場で米、麦、大豆及びトウモロコシといった主要な農作物の収穫量が将来予想される気温、湿度、2酸化炭素濃度及びオゾン濃度下でどのようになるかについての研究を行ったが、その結果によると、実際の農場の環境とはかなり異なる従来の閉鎖環境で得られた結果の50%程度にまで減少し、増加した2酸化炭素による肥料効果は、従来想定されていたように高温低湿度による収穫量減少を補う程高くはないとのことである。
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-->Science誌掲載の論文(report)の要旨を読む<--

D●果糖からプラスティックを生成(2006年6月29日、アメリカ ウィスコンシン大学)
近年石油の価格が急激に上昇したが、ウィスコンシン大学の研究者達は、触媒を用いて果糖(フラクトース)からHMF(Hydroxymethylfurfural)を安価に生成する方法を開発した。果糖は再生可能な資源であり、HMFは容易にプラスチックやディーゼル燃料に変換できるとのことである。
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-->Science誌掲載の論文(report)の要旨を読む<--

R●オゾンホールの消滅は遅れ気味(2006年6月29日、NASA/JPL)
NASA、NOAA及びNCARの研究者は人工衛星、航空機及び陸上での観測データ及び予想される将来の塩素や臭素の排出量のデータを基に、数値モデルを用いて南極上空のオゾンの復旧について計算したが、その結果によるとオゾン層が完全に復旧するのは当初予想されていた2050年ではなく2068年位になるとのことである。
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-->Geophysical Research Letters誌掲載論文の要旨を読む<--

D●マンハッタン島周辺のメチル水銀生成に関するシミュレーションモデル作成中(2006年6月28日、アメリカACS/Environmental Science and Technology誌)
HydroQual社はニューヨーク及びニュージャージー港湾局のためにマンハッタン島周辺のハドソン川流域を32000の小区画に細分し、水の流動、堆積速度、塩分の変化といった物理過程や、メチル水銀の生成や富栄養化といった要素を含めたシミュレーションモデルを作成中とのことである。
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R○残留性有機汚染物質の地球規模での観測(2006年6月28日、アメリカACS/Environmental Science and Technology誌)
北米及びヨーロッパの研究者は、7大陸上の42の観測点 (編注:日本にも観測点あり)における大気中の残留性有機汚染物質(POPs:Persistent Organic Pollutants)の濃度分析を行った。観測地点としては都市部、農村部、人為活動のある地域から遙かに離れた辺境部、北極及び南極が選定され、対象となった汚染物質はストックホルム議定書で目標とされたもの以外に、PBDE、火災抑制剤や殺虫剤エンドスルファン等の近年目立つようになった汚染物質も含まれている。カナダのHarner氏によれば、結果は概ねそれぞれの物資の使用パターンに従っているとのことで、最も高濃度のPOPsは都市部のPCBであり、またアルゼンチンやカナリー諸島の観測点では高濃度のエンドスルファンが観測されたが、このデータより、エンドスルファンをストックホルム議定書で指定されたPOPsに含めることができるかもしれないとのことである。ただし、ストックホルム議定書で禁止された殺虫剤の一部については、予期しない観測点で高濃度であることも発見された。この観測で検出されたPOPsの一部はストックホルム議定書に違反した使用によると推定されているが、一部については過去に使用されたものの残留が原因と考えられるとのことである。PBDEについては、一般に都市部で高濃度であったが、北米の農村部でも高濃度であった。なお、PBDEはエンドスルファンと同様にストックホルム議定書で禁止されてはいないが、禁止物質候補ではある。
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-->Environmental Science and Technology誌のweb出版論文の要旨を読む<--
-->ストックホルム議定書ホームページ<--

R●振動を利用して石油を採掘(2006年6月28日、アメリカUCSC)
アメリカのカリフォルニア大学サンタクルーズ校の研究者達は、地震が発生した際に生じる流体の岩石に対する透過性の上昇について研究しているが、その結果によると、特定の振動を大地に与え、岩石の透過性を上昇させることにより石油の採掘を容易にできるかもしれないとのことである。
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-->Nature誌に掲載論文の第一段落を読む<--

R●GPSを用いて地震のマグニチュードを推定(2006年6月28日、NASA/JPL)
ネヴァダ大学のBlewitt氏が率いるチームは巨大な地震が発生した際に、GPSを用いてどれくらい地盤が動いたかを測定し、そのデータをシミュレーションモデルに適用して地震の大きさを推定する方法を開発した。なお、従来の方法ではマグニチュード8.5以上の地震の初期推定は過小になる傾向があるとのことである。
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T○ワシントン州沖で深海珊瑚を発見(2006年6月26日、アメリカNOAA)
アメリカNOAAの研究者はワシントン州オリンピック半島沖の保護区(編注:アメリカーカナダ国境のやや南。この保護区のホームページは-->ここ<--)内で深海珊瑚の生息域を発見した。この海域で見られた深海珊瑚は少なくとも6種の軟体珊瑚及び1種の珊瑚礁を構成するようなタイプの珊瑚で、研究者は無人潜水機で撮影及びサンプルの取得を行った。これらの珊瑚は多数の軟体動物、甲殻類や魚類の生息に役に立っているが、多くの生息域では、放棄された漁具や、トロールの痕跡等といった人間の活動の影響が見られたとのことである。なお、6月初頭にこのオリンピック半島沖の保護区周辺を含む総計13万平方マイル(編注:1平方マイルは約2.6平方km)以上の太平洋沿岸の海域で、底引きのトロール漁が禁止された。
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T○WHOI建造中のHROVはNereusと命名(2006年6月26日、アメリカWHOI)
アメリカのウッズホール海洋研究所が現在建造しているHybrid Remotely Operated Vehicle(HROV)はNereusと命名された。Nereusは最大11000m迄潜水可能であり、広域探査時等には独立航行が可能で、至近調査や海底からのサンプル取得時には支援船とケーブルで繋いで運用することもでき、この両モードの変換は海上で6-8時間で行える。Nereusは2007年前半に試験運転を行い、同年後半にはチャレンジャー海淵での研究に使用される予定である、なお、Nereusとはギリシャ神話に出てくる男性の人魚である。
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R○地軸の不規則なふらつきをGPSで計測(2006年6月26日、アメリカAGU)
ベルギー及びフランスの研究者は、GPSを用いて極の位置を測定することにより、短周期でおきる数10cm以下といった地球の微少かつ不規則な自転軸のふらつきを計測した。その結果によると、こういった地軸の微少かつ不規則な短周期のふらつきは北半球での高気圧や低気圧の位置といった天気のパターンに強く影響されているとのことである。
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-->Geophysical Research Letters誌掲載の論文の要旨を読む<--

R○曳航式の海中顕微鏡で藍藻を観測(2006年6月26日、アメリカWHOI)
アメリカのウッズホール海洋研究所のDavis氏およびMcGillicuddy氏は曳航式のデジタルビデオ顕微鏡を使用して、従来は困難であったトリコデスミウム(Trichodesmiumu:編注:藍藻で、赤潮の原因になることもある。)の海洋表面から130mの深さ迄の現存量の連続観測を行った。海洋の表層での生物生産は通常は溶存窒素の量で制限されるが、トリコデスミウムは大気中や表層海水中に豊富に存在する窒素ガスを利用でき、この研究の結果により、トリコデスミウムによる窒素固定量は従来見積もられていた量より2.7-5倍多いと考えられ、地球規模での窒素収支の計算に大きな影響を与えうるとのことである。また、両氏によると、トリコデスミウムのコロニーは脆弱で強風による混合が起きると破壊されると考えられていたが、ハリケーン通過後の海域での観測では、強風によるダメージは見られなかったとのことであり、その他、トリコデスミウムの量と海水の塩分や温度との間に強い相関が認められたとのことである。
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-->Science誌掲載の論文の要旨を読む<--

R●ハリケーンの中の落雷について研究中(2006年6月23日、NASA/JPL)
ハリケーンの目の周囲では普通はあまり落雷はないが、2005年に発生したEmily、KatlinaやRitaといった強大なハリケーンでは落雷が観察された。現在NASAの研究者達は、ハリケーンの強さとハリケーンの目の周囲での落雷に関係があるかどうか調べている。
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T●アメリカUPS社は油圧ハイブリッド車を導入(2006年6月23日、アメリカEPA)
アメリカのUPS社(編注:大手宅配業者)はEPAが特許を保持する油圧ハイブリッド技術を適用したトラックの運用を今年の夏に始める。これにより、通常のディーゼル車に比べ、都市部での燃料効率は60-70%増大し2酸化炭素の排出は40%削減されるとのことである。
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T●産業排出物から水銀等の有毒な金属を除去するナノテクノロジーを商品化(2006年6月23日、アメリカPNNL)
Battelle社はPacific Northwest National Laboratoryで開発された、特定の金属汚染物質を有害な副産物をつくることなく選択的に除去するナノテクノロジー、Self-Assembled Monolayers on Mesoporous Supports (SAMMS)のライセンスをテネシーの会社に供与した。
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T○アメリカ、セミクジラと船舶の衝突防止のため船舶の航行速度制限を提案(2006年6月23日、アメリカNOAA)
アメリカのNOAAは大西洋セミクジラと船舶の衝突を防止するために、アメリカ東海岸沖の3海域で特定の期間に、連邦政府所属船を除く全長65フィート(編注:約19.8m)以上の船舶の航行速度を10ノット(編注:約18.5km/h)以下に、また必要であれば、この特定の期間や海域以外でも航行速度を制限する規則の提案を行った。セミクジラは主に沿岸域に生息し、北西大西洋のセミクジラの現存数は300頭と見積もられており、現在最も絶滅の危惧が高い種とのことである。NOAAはこれ以外にも、ボストン港への入出港航路の変更も提案している。
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D●アメリカで家庭用の燃料電池の性能比較を容易に(2006年6月22日、アメリカNIST)
アメリカのNational Institute of Standards and Technologyは、家庭用の燃料電池の実際の使用条件下での性能比較を容易に行えるようにするために、アメリカ国内での典型的な気候を代表する6都市を選定し、それぞれの場所での冬季、春/秋期及び夏期での使用について、家庭が外部の電力供給はまったく受けない場合、必要に応じて外部の電力供給を受け、余剰した電力は売却する場合や、家庭で必要な電力の一部のみを燃料電池でまかなう場合等にわけてシミュレートする評価方法を提案した。
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R○大気中の2酸化炭素濃度は南大洋に依存している可能性(2006年6月22日、アメリカ プリンストン大学)
プリンストン大学の研究者達が、主にシミュレーションモデルを使用して行った研究によると、南緯60度以南の南大洋(編注:南太平洋、南大西洋や南インド洋を含む南極を中心とした海)の海水は、それより北の海水に比べ、大気中の2酸化炭素濃度の制御に重要な役割を果たしているかもしれないとのことである。同大学のMarinov氏によると、南大洋深部より定常的に湧昇してくる海水は、南緯60度線の両側でともに表層で発散していくが、この境界より北では主に栄養塩を世界中の海洋に広く供給する役割を果たしているのに対し、この境界より南では南方向の流れに沿って2酸化炭素を吸収するというように、機能が境界を挟んではっきりと分離していて、この境界の片側に変化があっても、反対側にはその影響はほとんどあらわれないかもしれず、また、南極海では2酸化炭素を吸収した表層水は深部まで沈降するので、深層に2酸化炭素を長期間隔離する可能性があるとのことである。また、同氏によれば、海洋に鉄分を撒いて炭素を吸収するプランクトンを海洋表層で増殖させ、それらの死骸が深層に沈降することにより、大気中の2酸化炭素を削減しようというアイデアがあるが、このような試みは南極海周辺で行うのが適当ではないかとのことである。
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-->NOAA発表のこの件に関する別の記事を読む<--
-->Nature誌掲載の論文(Letter)の第一段落を読む<--

R●2005年のハリケーン強大化は地球温暖化のせい(2006年6月22日、アメリカNCAR)
高い海面温度はハリケーンにエネルギーを与えるが、アメリカのNCARのTrenberth氏及びShea氏は20世紀初頭からの全世界での海面温度の変化および大西洋熱帯域での近年の海面温度の上昇についての研究を行った。それによれば、大西洋熱帯域での近年の海面温度の上昇への影響は、地球温暖化によるもののほうが自然の長期変動によるものよりも大きいとのことである。ただし、2005年は海面温度だけではなく、大気上層の風のパターンもハリケーンの発達にとって好条件であったとのことである。
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-->Geophysical Research Letters誌掲載の論文の要旨を読む<--

D●ヨーロッパでの水素燃料電池バスは好調(2006年6月21日、アメリカACS/Environmental Science and Technology誌)
ヨーロッパでは2003年中期より27台の水素燃料電池を使用した公共バスをアムステルダムからバルセロナの9つの都市で運行し、のべ400万人の乗客を乗せのべ100万kmを走行し、その間に9カ所の水素供給ステーションの運営や約9000回に上る安全なバスへの水素補給おこなったが、その結果により、燃料電池の実用性についての多くの疑問が取り払われたとのことである。なお、消費された水素の50%近くは水力発電、風力発電、バイオマスや太陽光発電等の”グリーン”な再生可能エネルギーの使用によって生成されたとのことである。
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-->このプロジェクト(CUTE)に関する小冊子(PDF)をダウンロード<--
-->アメリカでの水素燃料プロジェクトのパンフレット(PDF)をダウンロード<--

D●NOxやCO低排出の燃焼室を開発(2006年6月21日、アメリカ ジョージア工科大学)
アメリカのジョージア工科大学の研究者は、NOxや一酸化炭素の排出をほとんどゼロにまで削減したエンジンやガスタービン用の燃焼室の開発に成功した。
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R●熱帯森林域の栄養塩を増加させると2酸化炭素の放出が増加(2006年6月19日、アメリカ コロラド大学)
コロラド大学の研究者達は、熱帯森林域にリンまたは窒素を加えると、土壌中の微生物からの2酸化炭素の放出が相当量増えることを発見した。
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-->Proceedings of the National Academy of Sciences誌掲載の論文の要旨を読む<--

R●乾燥地帯の都市化は周辺の降水や水収支に影響(2006年6月19日、アメリカ ジョージア大学)
近年急速に拡大している都市の多くは乾燥地帯にあるが、ジョージア大学の研究者は、その例として米国のフェニックス及びサウジアラビアのリャドについて調べたが、それによると両都市の周辺で降雨が増加し、周辺の水収支に影響を与えているとの事である。
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T●MITは外来種の侵出を防ぐために生きた海産物の廃棄についての注意を喚起(2006年6月19日、アメリカMIT)
アメリカのマサチューセッツ工科大学のSea Grantは外来種が侵出するのを防ぐために、生きた海産物やその残り(編注:中身を食べたあとの貝殻を投棄すると、その貝殻に付着した外来種の貝や藻が繁殖する可能性がある。また海草などにはカニが生息している場合がある)は野外に投棄せずに、適切な処理を行うよう注意を喚起している。なお、アメリカは年間推定1200億ドルを外来種に対する何らかの処置・対策のために費やしている。
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T●北極熊を絶滅の危険のある種に類別するよう要請(2006年6月16日、アメリカ シカゴ大学)
アメリカの研究者30名は、アメリカ政府機関であるU.S. Fish and Wildlife Serviceに対し、北極熊を絶滅の危険のある種に類別するよう要請した。現在進行しつつある地球温暖化に伴い、北極圏での海氷が減衰し、これにより、北極熊の生活圏が脅かされているとのことである。
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T●アメリカはハワイ諸島北西部周辺を世界最大の海洋保護区に指定(2006年6月15日、アメリカNOAA)
アメリカは、このほど、ハワイ諸島北西部周辺の14万平方マイル(1平方マイルは約2.56平方キロメートル)を国家遺産として保護することにした。なお、この海域での商業漁業は5年以内に廃止され、その他の研究や教育、保護・管理やハワイ先住民の諸活動等については、許可が必要となる。
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R●永久凍土融解に伴い炭素が大気に放出(2006年6月15日、アメリカ アラスカ大学)
従来はその影響はあまり考慮されてこなかった、アラスカやシベリアで100万平方km以上の表面を覆うレス(黄土)を含む永久凍土は炭素を多く含んでおり、大気に炭素を相当放出する可能性があるとのことである。
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D●セルロースからエタノールを生成する際の効率向上(2006年6月14日、アメリカACS/Environmental Science and Technology誌)
トウモロコシからのエタノール生成は、トウモロコシの栽培からエタノール生成に至る迄の全過程に必要なエネルギーが大きい。これに対し、すべての植物に含まれるセルロースからエタノールを生成するという手段もあるが、セルロースからエタノールを生成する場合のハードルのひとつは、セルロースを分解してグルコースにする過程であったが、ここにセルロース分解酵素を大量に生成する遺伝子組み替えを行った微生物を利用することにより、大幅にエタノール生成コストを削減する試みがデンマーク及びカリフォルニアの会社によって行われている。
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D●大学生による環境に考慮した自動車のデザインのサミットを開催(2006年6月14日、アメリカMIT)
アメリカのマサチューセッツ工科大学で、世界各国の21の大学の学生が参加し、人力、バイオ燃料、太陽電池や燃料電池を使用するような環境に考慮した乗用車を5~10台程設計・制作するサミットが6月13日から8月13日迄開催される。なお、このサミットの目標となる自動車は、オーストラリアで開催されている太陽電池使用車のレースに参加するような特殊な用途に適化された自動車ではなく、日常の通勤等に使用できるような自動車である。
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T○EU加盟各国の電池のリサイクルは製造者負担に(2006年6月14日、アメリカACS/Environmental Science and Technology誌)
欧州議会と欧州評議会は、電池製造者に回収を含む電池のリサイクルの金銭的な負担をさせる法律を制定することに同意した。このディレクティブ(指令)が発効されると、EU加盟各国は4年以内に全ての電池の25%を回収しなければならず、発効の8年後にはこの割合が45%に引き上げられる。このディレクティブは数ヶ月以内に公式に署名され、EU加盟各国はその後2年以内にそれぞれの国の法律にこのディレクティブを反映させなければならない。なお、EU加盟各国は小規模生産者に対してはこのディレクティブの適用を免除できる。
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R○中国の大都市における微細粒子による大気汚染(2006年6月14日、アメリカACS/Environmental Science and Technology誌)
直径10ミクロン以下の大気中の微細粒子は、無機及び有機化合物、埃や土によって構成され、都市部での視界減少や、心血管疾患や呼吸器疾患の要因となる。WHOは世界全体で年間80万人、アジアのみでは50万人が屋外の微細粒子による汚染に起因する疾患で死亡していると推定している。中国の国家環境保護局は中国国内の主要都市で大気の質を監視しているが、522都市のうちの39.7%では大気の質は悪いとのことである。これに対し、中国及び日本の研究者は中国の大都市の大気における直径2.5ミクロン以下の有機エアロゾル(大気中の微細粒子)について研究を行った。研究対象となった114種の有機化合物の多くは冬季に多く、これは家庭での暖房用の石炭の燃焼に起因するものとされた。中国の国家環境保護局によると、中国では2005年に21億4千万トンの石炭が燃やされ、これは同国で消費されたエネルギーのおよそ70%にあたるとのことである。また、発ガン性があると考えられているフタル酸塩については、夏期のほうが多かったが、これは夏期の高温によるプラスチックからの蒸発によると考えられている。北海道大学のWang氏によれば、大気中の炭素等の人為的な微細粒子は太陽光を吸収したり、反射したりし、また、雲の生成にも影響を与え、結果として気候に変動を与えるとのことである。なお、大気中の微細粒子はまだ同定されていない数百種類の有機化合物を含んでいるかもしれず、このため都市部での汚染粒子の分析は大変複雑で、中国における有機エアロゾルは研究はほとんど行われていないとのことである。
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-->Environmental Science and TEchnology誌掲載の論文の要旨を読む<--

T○NCARはアメリカ国内の研究機関間用高パフォーマンスネットワークに参加(2006年6月13日、アメリカNCAR)
アメリカのNational Center for Atmospheric Research(NCAR)は、このたびアメリカ国内の研究機関間で採用されている高パフォーマンスネットワークであるTeraGridに参加し、専用のデータサーバを設置した。これにより、増加しつつあるNCARの高い計算能力、気候データ、データ解析や可視化のためのツールへのアクセスに対応できる。National Science Foundation(NSF)がスポンサーとなっているTeraGridは。高パフォーマンスのネットワークとグリッドミドルウェアを使用して、米国中のスパコン、データーセンターや特殊目的のデータ解析施設を統合化し、共通化された仕様、ソフトウェアや機器類により米国中の研究者が共同で仕事をするのに適した環境を提供できる。なお、NCARは今後実験的なデータ保存クラスタを接続し、スパコンの一部へのアクセスを提供する予定とのことである。
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T○人工衛星より、有害な藻の大量発生を監視(2006年6月13日、ヨーロッパESA)
チリは現在鮭の養殖量では世界最大で、ムール貝の養殖もさかんだが、同国の養殖業は冬季に発生する有毒な藻の大量発生(ブルーム)に起因する養殖魚の死亡や貝毒の発生により打撃をうけやすい。このようなブルームの発生件数は過去30年間で増加しつつあり、チリ南部の360の養殖業者に年間数100万ユーロ相当の被害を与えているが、もしこのような藻のブルームを早期に検知できれば養殖業者は被害を最小にするための対処が可能となる。そこで、Hatfieldコンサルタント社が率いるチームは、ESAの資金によるCAP(Chilean Aquaculture Project)においてEarth Observation(EO:EOの説明は-->ここ<--)データを用いた養殖業者向けの藻のブルームの早期警報サービスを実施した。なお、藻は陸上の植物と同様に光合成を行うための緑色色素であるクロロフィルを持っているが、このクロロフィルのために海の色が変わるので、人工衛星より海の色を観測することにより藻を検知することができるが、CAPでは人工衛星によるクロロフィル色素濃度、透明度、浮遊懸濁物濃度、海表面温度データや現場での観測データ等の準リアルタイムデータや数値モデルを使用している。
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R●塩素がオゾン生成に寄与(2006年6月13日、アメリカUCI)
標準的な大気汚染の予測法では大気中の塩素については考慮されていないが、カリフォルニア大学アーヴァイン校の大学院生達は、アーヴァイン地域での10%以上のオゾンの光化学生成に、大気中での塩素と自動車や発電所等から排出される炭化水素や亜酸化窒素との反応が寄与していることを発見した。なお、大気中の塩素分子は海水からの自然起源のものや、水処理などによって放出される人為のものがあるが、通常は太陽光によって急速に分解される。
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-->Geophysical Research Lettersに掲載された論文の要旨を読む<--

R●海藻に育てられたバクテリアによる珊瑚の死(2006年6月12日、アメリカUCSB)
カリフォルニア大学サンタバーバラ校のSmith氏およびその他の研究者は、藻と珊瑚を一緒にすると珊瑚が死亡してしまうが、抗生物質を与えると珊瑚の死亡が免れるといった実験結果を基にして、海藻が分泌する糖分によってバクテリアが成長し、このバクテリアが珊瑚への酸素の供給を絶ち、そのため珊瑚が死亡するという藻が間接的に珊瑚を殺してしまうメカニズムを発見した。一旦このようなメカニズムで珊瑚が死亡すると、その珊瑚死亡後の空いたスペースに藻が増殖し、そこでまた珊瑚を殺すバクテリアが成長するといった悪循環になるが、このようなメカニズムによる珊瑚の死を加速させる地球温暖化以外の人為的な要因としては、珊瑚礁での漁獲が過剰となると藻を食べる魚が減少し、結果として藻が増加したり、下水や農業排水などからの栄養塩で藻が増殖するといったようなことがあるとのことである。なお、この研究結果はEcology Lettersに掲載されているとのことである。
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T●渡り鳥の行動を人工衛星で追跡(2006年6月12日、アメリカUSGS)
アメリカの河口や海岸に生息する岸辺の鳥(shorebird)の多くは、それらの種の存続が危ぶまれているが、その中でMarvel Godwitsというアメリカ南部沿岸及びメキシコから繁殖のために北に渡る大型の鳥がメキシコ、アメリカ及びカナダの国際的な岸辺の鳥保護策の代表として選ばれ、この鳥の背中に軽量の送信機を取り付けて鳥の日々の動きを正確に追い、繁殖地の位置を調べたり、移動中の情報を基にして渡り鳥が渡る最中に休憩する土地・資源管理者に、渡り鳥にとってのそれらの休憩地の相対的な重要さを知らせようとする実験を開始した。この送信機は太陽電池駆動で人工衛星経由で情報を伝達し、最長2年使用でき、このような送信機が北米の岸辺の渡り鳥に設置されるのは初めてとのことである。
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T●AC社小型ROVをCalMac社に販売(2006年6月9日、アメリカMarine Technology Reporter誌)
Scottish West Coast and Islandフェリーを運用するCaledonian MacBrayne社は自社運用船の船体の水中部分を検査するためにAC-CESS社よりAC-ROVを販売した。なお、AC-ROVはROV本体や船上ユニット等システム全てを含めてもトランク一個に収まるような小型のROV(ホームページは-->ここ<--)である。
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R○気候変動が遺伝子に与える影響(2006年6月8日、アメリカ オレゴン大学)
気候温暖化は高緯度域で最も早く進行し、高緯度域の気候は中緯度域の気候に似てきているが、これにより高緯度域の生物にとっては成長の期間が長くなると同時に夏の熱によるストレスが上昇することなく冬の寒さのストレスが減少している。オレゴン大学のBradshaw氏によれば、過去40年間で生物はその生息域を高緯度に広げ、繁殖及び成長が早まってきているが、これは環境の変化に対する個体の適応とのことである。また、同大学のHolzapfel氏によれば、こういった個々の世代の個体レベルの対応だけではなく、遺伝形質についても変化が現れているとのことである。しかし、両氏によれば、この変化は以前に比べ冬が短くなり春が早くきて、夏が長くなるといった季節に関する変化に対応するもので、熱に対する耐性や、繁殖等の適温が上昇するといったような気温の上昇に直接関係するような形質の変化はみられないとのことである。Bradshaw氏によれば寿命が短く集団のサイズが大きいような小動物は気候変動に適応し生きのびるが、寿命が長く集団のサイズの小さい大型の動物は、その数が減るか、南(北半球の場合)の生物にとってかわられるだろうとのことである。
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-->Scienceに掲載された記事を読む(有料:US$10.00)<--

R○グリーンランドを除く世界の大部分は前の氷河期からほぼ同時に脱却(2006年6月8日、アメリカ コロンビア大学/LDEO)
アメリカのコロンビア大学のSchaefer氏及びメイン大学のDenton氏は放射性同位体を用いて、世界各地の氷河の後退がいつからはじまったのかを調べた。その結果によるとグリーンランドを除く世界各地の氷河の後退は約17500年前にほとんど同時におこったが、この時期は南極の温度が上昇し始める時期および大気中の2酸化炭素が増加し始める時期に一致する。グリーンランドが氷河期から抜け出したのは約15000年前だが、これは北米や北ヨーロッパの氷床から流れ出した氷山が北大西洋を覆い、また、これらの氷山が融解した際に生じる淡水が低緯度から極方向に熱を輸送する海洋の大循環を停止させたことによって、北大西洋やそこに位置するグリーンランドは引き続き氷河期のような気候条件におかれていたのではないかと推測されている。また、北大西洋の海氷は極を周回する風を南に変位させ、これによっても北大西洋はより長い期間氷河期のような気候におかれていたのではないかとのことである。なお、この研究結果はNatureに掲載される予定である。
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R○自動車からの排ガスの影響(2006年6月7日、アメリカACS/Environmental Science and Technology誌)
先進国以外の国々でも自動車の利用が普及し、今後世界全体での自動車からの排気ガスの増加が気候に与える影響が問題になる可能性がある。そこで、ドイツ、フランス及びアメリカの研究者は数値モデルを用いて次の50年間の自動車からの排気ガス、局地的な大気汚染及び光化学スモッグについて分析を行ったが、その結果によると、北半球での排出は2050年迄に放射強制力(radiative forcing)を0.05W/平方メートル増加させ、世界全体での排出は夏期にピークとなり、それによる放射強制力の増加は2050年迄に0.27W/平方メートルになるとのことである。なお、放射強制力とは(大雑把に)地表に吸収される熱量を表す。
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T○地上のレベルでのオゾン量削減には国際協力が必須(2006年6月6日、アメリカACS/Environmental Science and Technology誌)
都市部でのオゾン量を下げるには、揮発性の有機化合物(VOCs)やNOxを制限しなければならないが、これらの物質は遠距離から運ばれてくる場合があり、局地的な対処のみではオゾン量の削減は困難である。これに対し、アメリカのEPAは1998年に汚染物質の排出の多いアメリカの州に厳格な規制を行った。しかし、例えば、ハーバード大学の研究者は東アジアでのNOxの排出が3倍になると、アメリカ西部での月平均オゾン濃度は0.002-0.006ppm程度増加する可能性があり、これ程増加するとアメリカ国内でのNOxの規制は無効になってしまうことを示したが、このようにNOxは海外からも運ばれてくる。したがって、オゾン量を制御するには、国際的な協力が必須となるが、そのためには現状に対する科学的な認識の同意が必要で、そして、それぞれの国々での国内規制がそれらの国々にとっても有益となることを説得する必要がある。オゾンを生成する物質の長距離輸送が注目を浴びるようになったのはかなり近年になってからで、Convention on Long-Range Transboundary Air Pollution(LRTAP、1979年発効。ホームページは-->ここ<--)の1999年のGothenburg議定書では硫黄、NOx、VOCs及びアンモニアの排出の上限が設定され、このような削減が実現するとヨーロッパ全体ではオゾン又は浮遊物質による47500人の死亡が防げるとのことだが、アジアの諸国はこの議定書に加盟していない(編注:日本も未加盟。ただし、LRTAPは国連のEconomic Commision for Europeという国連内ではあってもヨーロッパという地域的な組織の傘下)ので、アジアの諸国にこのような物質の排出の規制を促することは重要である。なお、最近は温室効果ガスであるメタンも、長距離輸送されるオゾンを生成する物質として注目されている。
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R○地球温暖化のムール貝への影響(2006年6月6日、アメリカ ワシントン大学)
ワシントン大学及び南カロライナ大学の研究者はロボムールと名付けられた自記温度計を北米西岸に多く生息するカリフォルニアムール貝(編注:日本のムラサキイガイの仲間。日本のムラサキイガイは貝毒に注意する必要があるが、食可)の群集中に設置し、これより得たデータを気象データに関連づける数値モデルを用いて温暖化がカリフォルニアムール貝に与える影響について研究を行ったが、それによると、現在の大気及び海洋の温度上昇の傾向が続けば、2100年にはカリフォルニアムール貝の体温は、生息場所により、1-3.6度C程上昇する。一般にカリフォルニアムール貝のような海洋生物の体温は周囲の気温や海水温に支配されるが、カリフォルニアムール貝は海面近くに密集して生息し、引き潮時には空気中に露出されるものも多いので、周辺の気候の特徴により、例えば、ワシントン州では気温のほうが影響し、カリフォルニア州南部では海水温の方が大きく影響するといったように、環境の変化への反応が異なる。なお、一部の場所ではカリフォルニアムール貝は既に限界近く来ており、気候変化により死滅してしまう可能性があるとのことである。
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T●絶滅したと思われていた南米のカエルを発見(2006年6月6日、アメリカCI)
絶滅したと思われていたSanta Marta harlequinとSan Lorenzo harlequinという2種類のカエルが、コロンビアのカリブ海沿岸のSierra Nevada de Santa Marta山の北西斜面に、新たに民間の組織によって購入後設定された保護区内で14年ぶりに発見されたが、この再発見された2種のカエルはどちらもChytridiomycosisという致命的な菌による病気にかかっておらず、保護区内または捕獲下での交尾で種の絶滅から救うことができると期待されている。なお、この保護区には他所では生息しない絶滅危惧種の両生類5種が生息し、また、減少しつつあるアメリカやカナダで繁殖を行う新熱帯の渡り鳥の中継地点でもある。
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T○NASAの雲観測用人工衛星は順調に稼働中(2006年6月6日、NASA/JPL)
NASAが4月末に打ち上げた雲及びその内部構造を観測するための人工衛星CloudSat(打上の記事は-->ここ<--)は現在のところ順調に稼働している。CloudSatの主席研究者であるコロラド州立大学のStephens氏によれば、CloudSatのレーダーは問題なく動作しており、主要なタイプの雲はすべて観測し、非常に強い雨の部分以外はほとんどの雲についてその内部を観測することができているとのことである。また、現在は連続観測を開始しているが、9ヶ月以内には校正済みのデータを研究者に公開したいとのことである。CloudSat搭載のCloud-Profilingレーダーは典型的な気象レーダーより1000倍以上高感度であり、雲を検知し雲中の雲粒と雨粒を区別できるので、嵐等の雲及び雲中、雲下の降水を同時に観測でき、この人工衛星のデータにより水蒸気がどのようにして水になり、その水のどのくらいが雨や雪として地上に降るのかについて新しい洞察が得られるものと期待されている。なお、CloudSatはその試用期間中に今までは人工衛星による観測では困難であった冬季南極上空の雲及び雪嵐の観測やアフリカ上空の雷嵐や傾斜した前線の雲の観測等に成功している。
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-->CloudSatのホームページ(画像有り)<--

D○MITの学生がアフリカでの太陽光利用発電プロジェクトの資金を世界銀行より獲得(2006年6月5日、アメリカMIT)
アメリカのマサチューセッツ工科大学の大学院生はアフリカのレソトで使用するための太陽光を利用した小型の発電機の開発の資金10万ドルを世界銀行より獲得した。この発電機は放物線型の鏡によって太陽光を水の入ったチューブ上に収束させて水を沸騰させ、それによって生じた蒸気でタービンを廻して発電するという仕組みだが、ここで使用されるタービンはパワーステアリングのポンプで、発電機はオルタネータといった具合に、普通の自動車のパーツが使用され、運用及びメンテナンスは地元の住民でできるように作られている。この発電機のプロトタイプの出力は1kwで、他に10kw相当の熱湯を得ることが出来る。この発電機は先進国の基準では決して大出力とは言えないが、人口の10%にしか電力が普及していないレソトでは熱湯の供給とともに貴重である。
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T●アメリカ、塩水淡水化のロードマップを作成中(2006年6月5日、アメリカSNL)
アメリカの人口は、次の20年間に10年で13.6%増加すると予測されているが、現在人口は水資源の少ないテキサス、カリフォルニア、アリゾナやニューメキシコといった州に移動しており、今後水不足が深刻化すると考えられているが、この問題に関し、アメリカのサンディア国立実験所の研究者は、塩水や排水の淡水化について、どのような研究開発をどのような優先順序で行うべきかを43の課題について示したロードマップを作成中である。なお、このロードマップは議会に提出される予定である。
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D●エアコン無しでも快適なビルの設計(2006年6月2日、アメリカMIT)
アメリカのマサチューセッツ工科大学の研究者は、自然換気を行うよう設計された実存するオフィスビルの模型及び、コンピュータによるシミュレーションを用いて、エアコンの使用を最小限にする研究を行ったが、その結果より、建築家が自然換気を行うビルを設計する際に使用できるようなユーザーフレンドリーなコンピュータによるツール(-->ここ<--を参照)を作成している。
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T○アメリカEPAは冷却水取水に対する海洋生物の保護策を強化(2006年6月2日、アメリカEPA)
アメリカEPAは沖合および沿岸における新規の石油及びガス取得施設の冷却水取水設備に対する、海洋生物の保護の基準を定める規則を発表した。この規則は次の20年間に建造される推定124台のリグやプラットフォームに適用される。この規則は3段階に分けられた規則の最後の段階の規則で、1日に5千万ガロン(編注:1ガロンは約3.8リットル)以上取水する既存の発電所には第2段階で適用されている。ただし、一部の既存の設備に対しては、ケースバイケースでこの規則の適用を除外している。
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R●アフリカの電気魚、進化中(2006年6月1日、アメリカ コーネル大学)
異なる種の電気魚は、DNAが異なり、互いに交尾はせず、また発生する電気的なシグナルのパターンも異なるが、アフリカのガボン共和国のIvido川に生息するモルミリド科の電気魚は同一のDNAを持つにもかからわず異なった形態を持ち、また異なった電気的なシグナルを発生し、種が分化する過程にあると考えられるとのことである。なお、モルミリドは尾にある電池のような組織から弱い電場を発生し、交尾する際には同じ信号波形を出すものどうしで行うとのことである。
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R●南極で古代地球の生物の大絶滅を招いたと思われる隕石の衝突痕を発見(2006年6月1日、アメリカ オハイオ州立大学)
オハイオ州立大学、NASA、ロシア及び韓国の研究者は、人工衛星の観測結果より、南極東部のWilkes Landの氷床の1マイル(約1.6km)以上下に約2億5千万年に推定最大直径30マイル(約48km)の隕石の衝突によって作られたと考えられる直径300マイル(約480km)のクレーターを発見した。これは6500万年前に恐竜を絶滅に追い込んだと考えられているユカタン半島の推定直径6マイル(約10km)の隕石の衝突跡よりも2倍以上大きく、時期的には地球上のほとんどの生物が死滅した古生代後期のペルム紀末(Permian-Triassic)大量絶滅の時期にあたり、恐竜はこのペルム紀末の大量絶滅の後に栄え始めたと考えられている。なお、この衝突により、オーストラリアがゴンドワナ大陸より分離し始めた可能性もあるとのことである。
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T●ラニーニャは終焉し、太平洋赤道域は穏やか(2006年6月1日、アメリカNASA)
2006年の始めの太平洋の赤道沿いの海域は弱いラニーニャのために平年よりも少し温度が低かったが、4月迄にラニーニャは終了し、太平洋赤道域は通常の状態に戻った。
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R○酸性雨によりサトウカエデが危機(2006年6月1日、アメリカ コーネル大学)
コーネル大学の学部学生及び教授からなる研究チームは、ニューハンプシャー州中の過去50年にわたって土壌の成分が計測されている総面積3160ヘクタールの実験森林中の試験区画の一部に栄養を加え、20世紀の公害が発生する前の土壌を再現するという比較実験を行ったが、それより、酸性雨は土壌をより酸性にするが、このような土壌ではサトウカエデの種子の生成が減少し、生成された種子は生育しにくくなり、また、成長した木がより多く枯死することを見出した。酸性雨は土壌の植物の栄養素として重要なカルシウムを溶解してしまい、そして、カルシウムを失った土壌はさらに酸性化し、サトウカエデのような植物に多大なストレスを与えてしまう。実験では10ヘクタールの広さの2区画の片方に5-10年で融解するカルシウムを多く含んだ粒状の鉱石を空中から散布し、片方の区画はそのまま放置したところ、カルシウムを散布した区画の土壌は3年弱で強く酸性化されていた状態からサトウカエデにとってより耐えられるような状態になり、散布後2年でカエデの葉に含まれるカルシウムが増加した。多量のマンガンは木々にとって有毒であるが、酸性雨は土中のマンガンを増加させる。これに対しても、カルシウム散布後4-5年で葉中のマンガンは健康な状態にまで減少した。また、種子の生成や発芽も放置した試験区画に比べ数年で増加した。その他、植物の根に栄養を送る手助けをする土中の菌類もカルシウム散布を行った区画では、そうでない区画に比べはるかに増加した。なお、サトウカエデはアメリカ北東部では最も経済的に重要な木で、この木よりメープルシロップが採取できるが、それ以外にも、木材や紅葉見物の観光資源としても価値が高い。公害防止政策により硫黄酸化物による雨の酸性化は減少したが、自動車起源の窒素酸化物による酸性化はあまり減少していない。
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T●アメリカ、ディーゼルエンジン用の燃料の硫黄含量削減実施(2006年6月1日、アメリカEPA)
アメリカでは、自動車ディーゼルエンジン用の燃料の精製所及び輸入者に対し、6月1日より燃料中の硫黄成分の含量を500パーミルから15パーミル(97%)へ削減することが義務づけられた。この燃料(ULSD)及び、ULSD用の公害防止対策を施したエンジンが一般に普及すると、年間で260万トンの亜酸化窒素及び11万トンの粉塵の排出が削減されることになる。
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R●ヨーロッパ南西部での両生類や爬虫類にとっては気候変動による乾燥化は重大な脅威(2006年6月、アメリカBlackwell出版)
ヨーロッパ南西部における42種の両生類および66種の爬虫類に対し、今後20-50年間で生じると考えられる気候変動の影響について研究した結果によると、温度上昇についてはさほどの問題を生じないが、乾燥化はこれらの生物に対して重大な脅威になるとのことである。
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-->Journal of Biogeography誌掲載の論文を読む(6月27日現在無料)<--

R●生態系の復旧は地球温暖化により新しい取り組みが必要(2006年6月、アメリカBlackwell出版)
現在は地球温暖化により急速に地球の気候が変化しようとている状況であるが、このような状況で以前の生態系を目標として、生態系を復旧させようとするのは効果的でないかもしれず、生態系の復旧は気候変動を考慮すべきとのことである。
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-->Restoration Ecology誌に掲載論文の要旨を読む(要旨は無料。全文は有料にてダウンロード可)<--

T○イギリスで、エコロジーに関する100の疑問を科学者及び政策担当者が厳選(2006年6月、アメリカBlackwell出版)
イギリスの政府関係者やさまざまな分野の環境保護団体に所属する環境政策担当者(Policy maker)及び科学者654人が2日間討議を行い、1000以上のエコロジーに関する疑問から、キーとなる100の疑問のリストを作成した。この討議の結果をJournal of Applied Ecology誌に発表したEast Anglia大学のSutherland氏によると、現在は科学者と政策担当者との間にほとんど情報の流れがないが、この両者間のギャップを埋めるのは適正な科学的知識に基づいた政策を作成するのに大変役に立つとのことで、また、同氏によれば、研究はより明確に政策に影響を与えるような事項に方向付けられなければならないとのことである(編注:多分研究課題のフォーカスをはっきりさせる、この件の場合、この100の疑問にまず回答するという意味)。なお、数学の分野ではこのような数学上の疑問のリスト作成がヒルバートにより1900年に行われたが、そのリストは20世紀の数学に重要な影響を与えた。
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-->Journal of Applied Ecology誌に掲載された報告書を読む<--

R○人類の活動は大規模な生態系のパターンに影響有り(2006年6月、アメリカBlackwell出版)
大陸から全地球といった空間スケールの生態系のパターンは、人類には無関係なプロセスによって形作られていると仮定されていたので、こういったスケールの生態系のパターンに人類の活動が与える影響についてはあまりよく研究されてこなかった。しかし、ニューメキシコ州立大学のLa Sorte氏による1968年から2003年迄の北米の鳥類の集団及びその地理的分布の時間による変化のパターンに関する研究によれば、人類の活動は大規模な生態系のパターンに影響を与えているとのことである。同氏によると、これらの鳥類の集団はこの36年間で地理的分布域が拡大し、また、普遍的な種の鳥がより広く分布するようになったとのことである。
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-->Journal of Biogeography掲載の要旨を読む(上の記事よりも詳細な記述有り)<--