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2006年8月のニュース

D●植物の種多様性には複数の生息地域を結合する通路が有効(2006年8月31日、アメリカNCSU)
アメリカの複数の大学の研究者達は、屋外の森林を切り開いて解放地を作り、その一部の解放地を通路で結合さすことによって、解放地を好む植物の種の多様性の維持に対する繁茂地間を結合する通路の影響に関する研究を2000年から2005年にかけて行ったが、その結果によると、実験期間の短さにもかからわず孤立した解放地は通路で結合させた解放地に比べ種の多様性が大きく減少したとのことである。
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D●無人の成層圏気球を使って気象観測を実施(2006年8月31日、アメリカNCAR)
アメリカとフランスの科学者達は、高度2万m付近の成層圏を浮遊する比較的大型の無人気球8基をアフリカのニジェールより放球し、東風によりカリブ海方面に漂流させ、その間にドロップゾンデと呼ばれるパラシュートを装備した重量約140gの気象観測観測機器パッケージを投下してハリケーン等に関する気象観測を行うというプロジェクトを開始した。それぞれの気球は35台程度のドロップゾンデを搭載し、通常は1日に2回これらのドロップゾンデを投下し、ドロップゾンデからのデータは気球搭載の通信機及び人工衛星を介して地上に伝送されるが、興味深い気象現象が発生した場合は地上からの指令により、最大1時間に1回の割合でドロップゾンデを投下できる。なお、この気球観測システム開発には、成層圏の低温かつ強烈な太陽光といった環境に耐える気球及びその搭載機器の開発及びドロップゾンデの軽量化及び総合的な低価格化が必要であったが、将来この気球観測システムによる観測が高費用の航空機による観測の代替となって活用されることが期待されている。
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R●熱帯太平洋の植物プランクトンは鉄分不足で色素増大(2006年8月30日、アメリカOSU)
アメリカのオレゴン州立大学のBehrenfeld氏を中心とした研究者達は熱帯太平洋の広い海域で、海洋表層の植物プランクトンの緑色色素が鉄分の不足によって増大することを発見したが、これにより、過去の人工衛星によるクロロフィル量の推定に誤りが生じている可能性があるとのことである。海洋表層の鉄分は海洋深部、空気または大気中の陸上起源の埃により供給されるが、この研究者達によれば、熱帯太平洋、南極周辺およびアラスカ以南の北太平洋の海域で鉄分によって植物プランクトンの発達が制限されており、気候変動に伴う陸上起源の埃による海洋への鉄分供給の変化により植物プランクトンも影響を受けるが、最近の気候変動の影響が植物プランクトンに顕れているかどうかは明らかではないとのことである。なお、Behrenfeld氏は海洋に鉄分を供給して植物プランクトンを増殖させる実験にも携わっている。
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R●オゾン層復活の兆候(2006年8月30日、アメリカGIT)
アメリカのジョージア工科大学のYang氏その他の研究者達は、人工衛星や風船を用いた観測及び地上観測により成層圏でのオゾンの復旧についての観測研究を行っているが、その結果によると、高度11-18kmの範囲ではオゾンは増加傾向にあり、高度18-25kmの範囲では減少に歯止めがかかったとのことである。なお、高度11-18kmの範囲での増加の原因は大気の力学的な変動によるもので、モントリオール協定によるオゾン破壊物質の使用削減とは無関係と推定されているが、高度18-25kmの範囲での減少はモントリオール協定の効果と推定されている。
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D●柑橘類の屑からエタノールを生成(2006年8月30日、アメリカACS/Environmental Science and Technology誌)
アメリカの農務省のCitrus and Subtropical Products Research Laboratoryの研究者は、フロリダにおける柑橘類産業で年間約300万トン生じる柑橘類の屑よりエタノールを生成する研究を行っているが、今年11月より1万ガロン(約3万8千リットル)の試験プラントによる実験を開始する。この試験プラントで生成されたエタノールはアメリカの一部の州で水の汚染源として既に使用が禁止されているガソリン添加剤メチルターシャルブチルエーテル(methyl-tert-butyl ether)の代替として用いることが可能であり、また副産物としてLimoneneという洗剤も得ることができるとのことである。なお、柑橘類の屑は家畜の飼料等として現在でも利用されているが、エタノールを生成したほうが高利益が得られる可能性があるとのことである。
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T○ヨーロッパでの温室効果ガスの排出量は2004年も増加していた(2006年8月30日、アメリカACS/Environmental Science and Technology誌)
EUがこの度発表した報告書によると、EUの2004年の温室効果ガスの排出量は0.4%の増加で、前年の1.5%と2年連続しての増加となっていた。国別ではスペインとイタリアでの排出が最も増加し、ドイツ、デンマーク及びフィンランドでは減少していた。京都議定書で定められた基準の年である1990年のレベルと比較すると、EU全体では温室効果ガスの排出の削減は8%の目標に対し僅か 0.9%にすぎない。温室効果ガスの排出量の増加の主因は自動車であるが、鉄鋼の生産も原因の一つである。
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T●人工衛星より気候変動が森林に与える影響を調査(2006年8月29日、アメリカNASA)
人工衛星Terra及びAquaに搭載されているMODISというセンサーにより得た木々の種別や量、森林の成長度といった情報が地上での現地調査の精度に匹敵することがわかった。
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R●外洋に設置する風力発電設備の研究(2006年8月29日、アメリカMIT)
従来の洋上風力発電設備は海底より立ち上げたタワーに設置されていて、このため設置できる場所は岸近くの水深の浅い所に限られていたが、アメリカのマサチューセッツ工科大学の研究者は水深50-200mといった外洋に全没した浮体を持つ半没式のタワーを係留し、それに風力発電機を設置する発電設備の研究を行っている。この方法の場合、発電設備は岸からの景観の障害にならず、安定した風が吹く場所を選定でき、また、必要に応じて設置場所を容易に変更できる等の利点があるとのことである。
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T○ウミガメ保護のためにホタテ貝漁の網の改造が必要(2006年8月28日、アメリカNOAA)
アメリカではすべてのウミガメが絶滅の危険にあるとして、連邦政府の法律により保護されているが、この度NOAAは底曳き式のホタテ貝漁の網にウミガメが巻き込まれるのを防ぐために必要な底曳き網の改造についての発表を行った。現在アメリカではホタテ貝は主に鉄のフレームに取り付けられた鉄輪でできた袋状の網による底曳き網で捕獲されているが、この程承認された改造ではこの網の入り口に、ホタテ貝を捕るには十分広いがウミガメが入るには狭い水平および垂直のチェーンでできたマットを装着することが義務付けられる。一部の漁業者は既にこのような底曳き網を使用しているが、今後は中部大西洋でアメリカ連邦政府の許可により5月1日より11月30日迄の期間にホタテ貝の底引き網漁を行う場合はこのマットの装着が義務付けられる。このマットが装着された網でもフレームの下にウミガメが入った場合はウミガメが負傷・死亡することがあり得るので、NOAAは引き続き漁業者と共同で他のデザインについても研究を行っている。
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R●水素燃料電池使用の翼長6.7mの無人航空機(2006年8月28日、アメリカGIT)
ジョージア工科大学の研究者達は、圧縮した水素ガスを使用する陽子交換膜(Proton Exchange Membrane:PEM)方式の燃料電池を使用する航空機としては最大と思われる翼長22フィート(約6.7m)の無人航空機のテスト飛行に成功した。この航空機に搭載された燃料電池の出力は500Wであるが、このサイズの航空機の動力としてはこの電力はかなり小さいとのことである。なお、燃料電池の発電力は一般の航空機に使用するには小さすぎるが、小型で低速の無人航空機の動力源としては十分適用可能ではないかとのことである。
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T●天気予報用の新しいコンピュータモデル開発(2006年8月25日、アメリカNCAR)
アメリカ及びその他の国々の研究機関は、共同で天気予報及び研究の両用途に用いられる新しい高解像度のコンピュータモデルを開発した。このモデルはNOAAによるアメリカ国内での1-3日先の天気予報、短期予報及び米軍による世界各地での天気予報に適用されてきたが、2007年後半には台湾、韓国、中国やインドといった国々でも用いられるとのことである。なお、このモデルは従来のものに比べ、アメリカでの夜間の温度・湿度や亜熱帯域での航空機が飛行する高度での風の予報が向上しており、各種の観測データをモデルに取り込むことが容易とのことである。
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R○北大西洋及び北極海の塩分減少(2006年8月25日、アメリカMBL)
北極海への淡水の流入が大きく増加すると、大西洋深層水の形成が減少または停止し、これに伴い地球の全海洋での塩分と熱エネルギーの分布に影響を与える深層大循環に影響を与え、結果として、たとえば北部ヨーロッパが寒冷化するかもしれないことが推測されている。このため、北極海及び北大西洋の塩分減少およびそれが地球の気候にもたらすかもしれないインパクトは近年注目されている。これに対し、アメリカのMarine Biological Laboratory(MBL)のPeterson氏をリーダーとする研究者達は、20世紀後半における海面での降水、河川、氷河や海氷の融解により海洋に加えられた淡水の量の年間及び積年についての偏差を計算し、この期間における北大西洋での淡水の増加と比較したが、その結果によると河川からの淡水の流入と海面における降水が北極海及び北大西洋高緯度域での淡水の増加に最も寄与しており、海氷の融解や氷河の融解がこれに次いでいた。MBLのPeterson氏によれば、このような研究によりどの淡水源の寄与が大であるかがわかり、また、過去においてそれぞれの淡水源の重要性がどのように変化し、どのような原因でその変化が生じたのかが分かり、それにより将来の海洋の淡水化および循環についての展望が得られるとのことである。この研究結果より、海洋への淡水の流入と海洋での淡水の蓄積が同時に起こっているとともに、これらは気温の上昇及び、North Atlantic Oscillation(NAO)と呼ばれる北大西洋及びその周辺の大陸の気候に大きな影響を与える気候現象の増大化及びそれに付随するNorthern Annular Mode(NAM)と同期していることが示された。Peterson氏らによれば、おそらくNAOおよびNAM間の相互作用や地球温暖化による気温の増加が北極海及び北大西洋の淡水化が今後も進行するかどうかを決めるであろうが、大気の現象であるNAOおよびNAMの将来の傾向を予測することは大変困難であり、数十年から100年といった時間規模での北極海の淡水のバランスの傾向の予測には大きな不確かさが伴うであろうとのことである。
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D●6機の自律式水中グライダーを同期させて海洋観測(2006年8月24日、アメリカ プリンストン大)
アメリカのプリンストン大学等の研究者達は、6機の全長約1.8mの自律式水中グライダーを自動的に同期させて海洋観測を行う実験をカリフォルニア沖で行った。なお、これらのグライダーは直接互いに交信することはできないが、それぞれ約3時間毎に浮上し陸上のコンピュータに浮上位置を送信し、その際に陸上のコンピュータが他のグライダーの位置及び観測域の海流予測を参考にして観測対象や目標に沿うように、自動的に個々のグライダーの次回の潜行方向を設定する。(編注:水中グライダーは推進器を持たないが、空気中のグライダーのように比較的大きな翼を持ち、それにより沈降・浮上する際に水平方向にも移動する。自律式藻人潜水艇に比べると、水平移動能力はかなり限定されるが、圧倒的に安価であり、大容量の電池や燃料を搭載しなくても長期連続稼働が可能という利点を持つ。実機の写真は下のオレゴン州立大学の関連記事を参照)
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-->オレゴン州立大学の水中グライダーに関する記事(実機詳細写真有り)を読む<--

R○ヒマラヤ西部では氷河は増大(2006年8月24日、イギリスNU)
ヒマラヤ東部、ネパールやインドでは氷河は地球温暖化により融解し減少しているが(編注:この地域の氷河の減少の原因の詳細については異論もあり)、ヒマラヤ西部、カラコルム、ヒンドゥクシ山脈では氷河は増大している。イギリスのニューキャッスル大学の研究者はこの地域の温度の傾向を調べたが、その結果によると、この地域では冬季の温度は増加しているが、夏期の温度は減少しており、これと降雨量及び降雪量の増加により、少なくとも高山部では氷河が増大しているのではないかとのことである。この地域は5千万人のパキスタン人の水源となっており、夏期の融氷・融雪水量が事前に予想できれば、この地域にある2カ所のダムの管理を潅漑や発電のために効果的に行えることになる。なお、この地域の融氷・融雪水の1/3は高山部起源で、2/3は低地部起源であるが、夏期の温度が減少すると高山部起源の水量は減少し、前年の冬の降雪量が大であると低地部起源の水量は増大するとのことである。(この研究結果はJournal of Climate誌に掲載予定)
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R○大気中の水銀が増加すると湖沼の魚の体中のメチル水銀も増加(2006年8月23日、アメリカACS/Environmental Science and Technology誌)
湖沼底や湿地帯の泥の中のバクテリアは、無機水銀を有毒なメチル水銀に変換し、このメチル水銀がそこに住む魚の体内に蓄積されるが、大気中の水銀量と魚体内のメチル水銀量の関連は不明確だった。これについて、カナダのFisheries and Oceans CanadaのOrihel氏は、オンタリオ州の湖に設置した実験区画に通常より2-15倍多い放射性同位体を含んだ水銀を加えるという実験を行ったところ、8週間後にこの余分に加えられた水銀の1%以下がメチル水銀に変換された。Orihel氏によれば、このような小量の増加でも魚が有毒になるには十分とのことである。なお、ウッズホール海洋研究所の研究者も大気中の水銀量が増えると湖でのメチル水銀の生成量が増えるという報告を行っている。アメリカのEPAによれば、アメリカでの大気への水銀の放出は火力発電所からのものが最も多く、EPAは水銀の放出の削減目標を2010年迄に21%、2018年迄に69%と定めたとのことである。
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-->Environmental Science and Technology誌掲載の論文の要旨を読む<--

R○飲用水から藻(アオコ)に蓄積された毒を除去(2006年8月23日、アメリカOSU)
人間を含む動物の肝臓に有害な毒を蓄積するMicrocystis(アオコ)という藻は、アメリカの湖沼や河川に繁茂するが、近年では約1300万人の飲用水源となっているエリー湖で、汚染により異常繁茂を起こし問題化している。多くの水浄化施設では微細な穴のあいた限外濾過半透膜を用いたフィルターを使用し始めたが、Microcystisの持つ毒素の分子は非常に小さく、これらの半透膜を透過してしまう。この問題に対しオハイオ州立大学のWalker氏は、すでに除草剤や防虫剤の除去に実績のある活性炭を未処理水に加えてから半透膜によるフィルターを透過させることによってMicrocystisの持つ毒の除去を行うという実験を、市販の3種の限外濾過半透膜に対して行った。その結果によると、活性炭が無い場合は最も効果的な限外濾過半透膜でも78%の毒しか除去できなかったが、活性炭を加えた場合は95、97及び99%の毒が除去できたとのことである。なお、この方法を現存の限外濾過半透膜を使用した水浄化施設に適用する場合は、新規に設備を購入することなく未処理水に活性炭を加えればよいとのことであるが、実際にこの方法を使用するにはさらなる研究が必要とのことである。
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-->Environmental Science & Technology誌掲載の論文の要旨を読む<--

R●北米の湿地帯での火災は水銀を大気に放出(2006年8月21日、アメリカMSU)
大気に放出された水銀はいずれ地上に戻るが、大気の流れにより特に北米の湿地帯である泥炭地に水銀が濃縮されている。しかし、アメリカのミシガン州立大学の研究者が行った人工火災実験を含む研究によれば、この泥炭地に隔離されていた水銀が、頻度および規模が増大しつつある自然火災により当初計算されていたより最大15倍も多く大気に放出されているとのことである。なお、自然火災の頻度および規模の増大は気候変動によるものかもしれないとのことである。
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R○海底下の予想より浅い場所でガスハイドレートを発見(2006年8月21日、国際IODP)
ガスハイドレートは低温・高圧な場所でのみ安定に存在し、通常は外洋の深さ500m以上の海底下もしくは北極の凍土地帯で発見されるが、Integrated Ocean DriIling Program(IODP)に参加している研究者達はカナダ西海岸沖の比較的浅い海底下50-120mで高濃度のガスハイドレートを発見した。海底掘削を行う前は、ガスハイドレートは海底下のもっと深い所に一様に分布していると推定されていたが、このガスハイドレートは砂の層中に高濃度で存在しており、この観測結果より、堆積物の粒サイズがガスハイドレートの形成に大きな影響を与えていると考えられるとのことである。
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R○河川から単一の種の魚を除くと生態系に大きな影響(2006年8月18日、アメリカDU)
ダートマス大学、コーネル大学及びワイオミング大学の研究者は、ベネスエラの小さな川で210mの長さの流域をプラスチックの板で分け、片側では川底の有機物を食べるflannelmouth characinという特定の魚のみを除去し、もう片側については変更を加えることなく放置し、この流域の上流側と下流側で水中の有機炭素の量の計測を6年間行った。その結果によると、この魚が除去されていない側では有機炭素は流れに沿ってより均等に分布していたが、この魚が除去された側では大量の有機炭素が上流側で堆積し、バクテリアによって食べられ、下流側の生物にはこの有機炭素が容易に得られないという状態になり、他の種の魚がこの魚の除去が生んだ空白を埋めることはなく、この魚の除去は川の生態系の代謝活動に大きな影響を与えた。これにより、この魚が除去された場合は有機炭素から2酸化炭素への変換が増大し、結果として河川から大気への2酸化炭素の排出が増えるかもしれないとのことである。なお実験が行われた川には80種以上の魚が生息するが、その中でflannelmouth characinのような川底の有機物を食べる魚は全体のバイオマスの50-80%を占める。flannelmouth characinは食用として漁獲されているが、過剰漁獲されている場合もあり、ベネスエラのオリノコ流域で採取された試料の最大体重は過去28年で2.2ポンド(約0.9kg)から0.5ポンド(約0.2kg)へと減少しているとのことである。
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-->Science誌掲載reportの要旨を読む<--

R●石油と水の分離技術の開発(2006年8月18日、カナダQU)
カナダのクィーンズ大学の研究者は、界面活性化の機能を2酸化炭素を通すことによって有効に、また、窒素を通すことによって無効にできる界面活性剤を開発した。この界面活性剤により油を水中に乳状化させたり、逆に乳状化した油を水から分離させることができ、これにより、石油で汚染された海水の浄化やタールサンドからの石油の回収等に用いたり、化学会社、製薬会社、鉱山や各種クリーニング製品の製造会社等で役立てることが可能で、同種の既製品に比べて環境対策に優れているとのことである。
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-->Science誌掲載のreportの要旨を読む<--

R●天山山脈の氷河も環境汚染の被害(2006年8月18日、中国 新華社通信)
中国の研究者は、1955年から1998年にかけて天山山脈で生成された氷柱を調べたが、その結果によると、天山山脈の氷河も山火事、自動車からの排ガスや工場からの排出物等によって汚染されているとのことである。
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T●イスラエル軍の攻撃により発生したレバノン沖の石油汚染の人工衛星画像(2006年8月、アメリカNASA)
この記事ではNASAのTerra人工衛星搭載のセンサーで8月10日に得た画像を紹介しているが、画像中での海面の石油はやや濃い青になって表示されており、発電所(画像の陸地部分左下)から流出した石油はベイルートの遙か北迄広がっている。なお、この画像を撮影したセンサーは流出した石油の分布を調べるような用途には最適ではない。
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-->別の人工衛星で撮影したベイルート付近の海岸の画像記事<--

R○現代の海中の騒音は1960年代より10倍以上増大(2006年8月16日。アメリカSIO)
アメリカのWhaleAcoustics社及びスクリップス海洋研究所の研究者達は、最近機密指定が解除されたアメリカ海軍がカリフォルニア沖で1964-1966年にかけて測定した海中の騒音の記録と、スクリップス海洋研究所が2003-2004年にかけて同じ海域で測定した海中の騒音を比較したが、それによると、2000年代の海中騒音のレベルは1960年代当時に比べ10~12デシベル程度高かった。この観測域に到達する騒音の発生源は主に北太平洋全体を航行する船舶であるが、ロイド船級協会(編注:イギリスで18世紀後半に保険等のために船舶のの評価を行うことを目的に設立された協会で船名録を発行している)によれば、1965年から2003年迄では世界全体での船舶腹数の増加は2倍程度であり、騒音の増加は航行船舶の増加だけではなく、船舶の大型化、高速化およびエンジンの高出力化に伴う個々の船舶からの騒音の増加にもよるものと考えられるとのことである。なお、この海中騒音の増加が海洋生物に与える影響については未知であり、さらなる研究が必要とのことである。
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-->Journal of the Acoustical Society of America誌掲載論文の要旨を読む<--
-->WhaleAcoustics社のホームページに移動<--

T○バイオ燃料普及には多くの国で政府補助が必要(2006年8月16日、アメリカACS/Environmental Science and Technology誌)
Organisation for Economic Co-operation and Development(OECD)が作成した報告書によると、石油価格の高騰につれ、バイオ燃料の需要が増加し、今後この需要の増加が加速すると推定されるが、バイオ燃料を政府の補助無しで石油を原料とした燃料と太刀打ちできる価格で精製できるほどバイオ燃料用原料が豊富な国はほとんど無いとのことである。この報告書によれば、次の10年間にバイオ燃料の使用は増加し、これに伴いトウモロコシ、麦、採油用種子及び砂糖の需要が増加するとのことである。エタノール精製については、ブラジル、カナダ及びアメリカでは大きく増大するが、EUにおいてはバイオ燃料のディレクティブが実施されていないので、コメントされていない。なお、アメリカではトウモロコシを原料としたエタノール精製の増加によりトウモロコシの輸出が制約されるとのことである。
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-->報告書(pdfファイル)をダウンロード<--
-->OECDのホームページに移動<--

T●カナダ西部では酸性雨が問題になる可能性有り(2006年8月16日、アメリカACS/Environmental Science and Technology誌)
カナダ西部では最近まで酸性雨は特に問題ではなかったが、アルバータ州の石油開発に伴う大気汚染の増加で、今後は問題になる可能性があるとのことである。
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T○ヨーロッパの海岸の開発は生態系に有害(2006年8月16日、アメリカACS/Environmental Science and Technology誌)
European Environment Agencyが作成した報告書によると、ヨーロッパの沿岸域におけるリクレーションおよび観光のための開発およびこれらに伴う道路建設や商業の発展により、沿岸域の生態系のデリケートなバランスが破壊の危機にさらされているとのことである。さらに、ヨーロッパの湿地は20世紀初頭より約2/3が失われ、もっとも大きな影響を受けた海岸は地中海西部で、1990年から2000年にかけてはポルトガル、アイルランド及びスペインの海岸域の商業開発が最もさかんで、フランス、イタリア及びギリシャがこれらの国々に次いでいたとのことである。
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-->報告書がダウンロードできるページに移動<--
-->European Environment Agencyのホームページに移動<--

T●ヨーロッパ各国のエネルギー効率化への取り組みは遅れ気味(2006年8月16日、アメリカACS/Environmental Science and Technology誌)
欧州議会は、建築物のエネルギー消費削減、熱及び電力の同時生成の奨励及び家庭内の製品のエネルギー消費削減に関する現存のディレクティブが実行されている国が少なすぎるとして、ECに対し、こういったエネルギー効率化への取り組みが遅れている国々に対して適当な処置を行うよう要請した。欧州議会は、また、Roca氏による報告書を承認したが、この報告書によればすべてのEU加盟国がエネルギー節約に関するディレクティブを実行すれば2020年迄に20%のエネルギー消費を削減するといった目標の半分に達していたはずであり、2酸化炭素排出については25%削減されていたはずとのことである。ただし、熱及び電力の同時生成については定義づけに関する技術的な異論があり、実施が遅れているとのことである。
-->元の記事を読む<--
-->この件に関する欧州議会の決議<--

T●アメリカでの自動車の燃費は近年あまり向上ぜず(2006年8月16日、アメリカACS/Environmental Science and Technology誌)
アメリカのEPAが最近発表した報告書によれば、ジェネラルモータース(GM)、ダイムラークライスラー、ホンダ、ニッサン、トヨタ及びフォルクスワーゲンといったアメリカで自動車を生産している主要6社製造の乗用車、SUV(主に四駆のジープタイプの車)及びピックアップ(小型トラック)といったタイプの自動車はアメリカ全体の石油消費の40%、2酸化炭素の年間排出量の20%を占めるが、こういった自動車の平均の燃費は1980年代中頃が最良で、その後悪化し、1990年代中頃以後はあまり変化していず、アメリカでのこういった自動車の燃費を改善するには燃費に関する最低基準を改訂するのが効果的とのことである。
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-->報告書を読む<--

T●気候変動が生態系に与える影響に関する新しい統計モデル(2006年8月15日、アメリカOSU)
アメリカのオレゴン州立大学の研究者は、5年前に開発され、医学研究やクレジットカード不正利用の検出等に用いられている"Random Forest"モデルという統計モデルを気候変動が種の消長に与える影響に関する研究に適用したところ、他のモデルに比べより正確な結果が得られたとのことである。
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-->Global Change Biology誌掲載の論文の要旨を読む<--

R○大気中の2酸化炭素の増加によりテーダ松の氷嵐に対する耐性は増加(2006年8月15日、アメリカDU)
アメリカのデューク大学その他の研究者達は、2酸化炭素の濃度を2050年頃に予想される現在より1.5倍増加させた実験林で、2酸化炭素の濃度の増加が典型的なアメリカ南東部の森林の生態系に与える影響について研究しているが、2002年に発生したアイスストームの結果による2酸化炭素の濃度を増加させた部分の林におけるテーダ松の損傷は、2酸化炭素の濃度を増加させていない部分の林におけるテーダ松の損傷より少なく、また、嵐後の復旧も早かった。このような結果になった理由については現在のところ明確ではないが、可能性のひとつとしては、2酸化炭素の濃度の増加により木々がその頂部を厚くし、その結果、氷による重量増加に対しても折損しにくくなったのではないかとのことである。なお、従来は2酸化炭素の濃度が増加した場合、木材の密度が減少し、それに伴い強度が減少すると考えられていたが、アイスストーム後に回収した折損した木々の頂部の枝を調べたところ、密度の減少は認められなかったとのことである。デューク大学のOren氏によれば、テーダ松は低温やアイスストームに弱いが、もし2酸化炭素の濃度の増加に伴いテーダ松のアイスストームへの耐性が増加するならば、テーダ松の分布域は2酸化炭素の濃度の増加に伴い北進するかもしれないとのことである。
-->元の記事を読む<--
-->Journal of Geophysical Research誌掲載論文の要旨を読む<--

T●水素燃料電池の中の水の動きを撮像(2006年8月15日、アメリカNIST)
アメリカのNational Institute of Standards and Technologyは北極のような低温から、砂漠のような高温迄の環境下における水素燃料電池内の水の動きを、最大解像度0.02mmで捉えることの出来る中性子イメージング設備を開発した。
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R○地球温暖化とハリケーン強大化の関連(2006年8月15日、アメリカAGU)
フロリダ州立大学のElsner氏は、過去50年間におけるグローバルな地表・海面近くの平均気温及び大西洋の海面水温とハリケーンの強度の比較を行ったが、その結果によるとハリケーンシーズン中の6月から11月にかけての平均気温は海面水温の予測に有用であるが、その逆は成り立たないとのことである。同氏が行った研究結果は主に温室効果ガスによって生じた地球温暖化と近年の大西洋のハリケーンの強大化及び発生頻度の増加に関連があることを証明するのに役立つとのことである。なお、近年のハリケーンの強大化は、地球温暖化のためではなく、数十年の時間スケールで自然に生じるAtlantic Multidecadal Oscillation(AMO)によるものという説もある。
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R●沿岸域の環境の指標生物として小エビを使用(2006年8月15日、アメリカNOAA)
Grassエビ(編注:体が透明な小エビ。元の記事に写真有り。)はアメリカ東海岸及びメキシコ湾岸域の沿岸部に広く分布しているが、このエビは環境汚染に対し沿岸域の魚より敏感であり、アメリカのNOAAはこのエビを沿岸域の環境を示す指標生物として用いることを提案した。
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T●アメリカはタンカー座礁によりダメージを受けた珊瑚礁を修復(2006年8月11日、アメリカNOAA)
アメリカのNOAA及びプエルトリコ政府機関は。今年4月にプエルトリコで発生した全長228mの大型タンカーの座礁によりダメージを受けた8500平方mの珊瑚礁の修復を行っている。
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T○今年の冬に弱いエルニーニョ発生の可能性有り(2006年8月10日、アメリカNOAA)
アメリカのNOAA(商務省海洋大気庁)のClimate Prediction Centerで行っているシミュレーション及びデータ解析の結果によると、今年の冬から来年初頭にかけて弱いエルニーニョが発生する確率は50%とのことである。もし弱いエルニーニョが発生した場合、アメリカでは2007年の1月から3月にかけて、メキシコ湾岸及び南東の州の一部では降水量が平年より増加し、西部、グレートプレーンや中西部北部においては平年より暖かくなる。
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R○南極の降雪量は過去50年間では増加していない(2006年8月10日、アメリカOSU)
現在最も信頼されているコンピュータシミュレーションの結果によれば、大気の温度が増加するにつれ南極での降雪量は増加するとのことであるが、アメリカのオハイオ州立大学及びその他の研究機関が過去50年間の南極の降雪量について海洋性の西南極氷床(West Antarctic Ice Sheet:南極をカブトガニに模した場合の後部ー尻尾部)及び陸上の東南極氷床において、氷柱資料、積雪観測や気象観測データ及び実観測データを利用したシミュレーションモデルを用いて調べた結果によると、統計的に有意な降雪量の増加または減少傾向は認められないとのことである。ただし、南極での降雪量の年ごとの変動や10年程度といった時間スケールの変動はかなり大きく、南極における降雪量の変動の傾向を明確にするためには少なくとも100年程度のデータが必要なのではないかとのことである。なお、近年には西南極氷床の岸に沿った部分から大容積の氷が過去見られなかったような速さで溶け出しているが、一部の気候変動に批判的な人々が主張しているような、南極での氷の融解と南極での降水量の増加がバランスして、グローバルな海面上昇が抑制されるというようなことは認められないとのことである。
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-->Science誌掲載論文の要旨を読む<--

T●オーストラリアは自国周辺の海底の鉱物分布図を作成(2006年8月10日、オーストラリアCSIRO)
オーストラリアは自国周辺の海底における銅、金、銀及びダイアモンドといった鉱物の分布図を作成した。
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R○グリーンランドの氷の融解が加速(2006年8月10日、アメリカUT)
アメリカのテキサス大学の研究者は、GRACE衛星より得た2002年から2005年にかけてのグリーンランドでの重力変化のデータを用いて、グリーンランドでの氷の減少を調べたが、それによると、グリーンランドでの2004年以後の氷の融解は、それ以前の約5倍というように氷の融解が加速しており、その融解の69%はグリーンランド東部で生じ、近年では、毎年グリーンランド全体で239立方km、東部では164立方kmの氷が失われているとのことである。グリーンランドの淡水の貯蔵量は南極に次いで地球上で2番目に多く、地球全体の約10%の淡水を貯蔵しているが、現在の融解量では世界全体で年間に0.56mmの水位上昇をもたらす。また、グリーンランドの氷の融解は北大西洋に流入する淡水の増加をもたらし、これに伴い、北大西洋海流やノルウェー海流といった北大西洋の海流に変化が生じ、気候変動の原因となることも考えられるとのことである。
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-->Science誌掲載リポートの要旨を読む<--
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R●遺伝子操作により洪水に強い稲の新品種を開発(2006年8月9日、アメリカUCD)
稲は他の穀物植物と異なり、短期間であれば完全に水没しても枯れないが、完全に水没した状態が4日以上続くと枯れてしまう。これに対し、アメリカのカリフォルニア大学デーヴィス校及びInternational Rice Research Instituteの研究者は遺伝子の操作を行って、洪水等により数日程度完全に水没しても枯れない稲の新品種を開発した。この新品種の商品化はラオス、バングラディシュ及びインドで進行中であるが、先進国においては、研究者達はこの新品種の採用した田で、満水状態を長期間保持することにより雑草が生えることを防ぎ、結果として除草剤の使用を削減することができるのではないか期待している。
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R○深海の堆積物中に2酸化炭素を貯蔵(2006年8月8日、アメリカ ハーバード大)
アメリカのハーバード大学のSchrag氏によれば、化石燃料、特に石炭は21世紀においても主要なエネルギー源となるので、大気中の2酸化炭素の量を安定化させるためには、捕捉した大量の2酸化炭素を大気に再放出することなく永久に貯蔵できる場所が必要となるとのことである。これに対し、ハーバード大学、マサチューセッツ工科大学及びコロンビア大学の研究者によると、低温及び高圧環境下にある深海の堆積物中に2酸化炭素を注入した場合、2酸化炭素は周囲の海水より重い液体となり、2酸化炭素を海中に放出する場合に比べ海洋生物への影響は最小化でき、かつ、海水の混合や流れなどにより大気に放出されることもなく、また、天然ガス田等の地中の空洞に2酸化炭素を貯蔵した場合のように漏れの恐れもないので、深海の堆積物層は2酸化炭素の貯蔵場所としては理想的とのことである。特に大深度の堆積物中に貯蔵する場合は、2酸化炭素は固体となるので、さらに安全で、巨大地震等にも耐えられる貯蔵場所になるとのことである。なお、アメリカの排他的経済水域内だけでも、貯蔵に適当な深度の海底は数千年分の2酸化炭素を貯蔵するのに十分な広さがあるとのことであるが、堆積層が薄い場所、堆積物が不透過な場所及び傾斜が急な場所は貯蔵場所としては不適当とのことである。
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T●北極地方の国々への地球温暖化対策の提案(2006年8月7日、アメリカUAF)
アメリカのアラスカ大学フェアバンクス校の研究者達は、地球温暖化に対し温室効果ガスの削減政策の実施が実際に効果を顕すようになるのはかなり先の将来であり、社会は現在進行しつつある温暖化に対し適応していく必要があるとして、北極地方の状態を管理するために、保護海域の設定、共同保護域ネットワークの設定、経済のグローバルな気候変動に対する適合及び地球温暖化ガスの排出の削減等といった政策提案を行った。
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R○複数の自律航行潜水機を共同で作業させるための研究(2006年8月7日、アメリカMIT)
アメリカのマサチューセッツ工科大学の研究者は複数のロボットを共同で、人間による制御は最小にして、滑らかに作業させるための実験を、市販品のカヤックにコンピューター、無線操縦器、推進器、操舵器、通信機その他を搭載して行っている。このカヤック(Surface Crafts for Oceanographic and Undersea Testing, SCOUT)でテストされる技術の多くは最終的には海中の無人潜水機(AUV)に使用されるものだが、AUVを使用しての実験は高価であり、海中での電波による通信は困難である。これに対し、SCOUTは海面に浮いているため、無線ネットワークやGPSを使用できるので、研究者は複数のカヤックが相互にあまり通信を行なわなくてもチームとして滑らかに行動できるような航行の機能等、他のロボットとしての必要な機能の調整に集中できる。MITのCurcio氏によれば、水中で複数のロボットを共同させて効果的に使用するためには、ロボット相互間の通信が最小となるようなソフトウェアを組む必要があるとのことである。
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R●ブラジルの雨林での小規模農業は生態系の保護に障害とはならない(2006年8月7日、アメリカUM)
アメリカのミシガン大学の研究者がブラジルの大西洋岸の熱帯雨林の種の多様性について行った研究によると、当初の予想に反し、生態系の保護の障害になるのは大資本による大規模農業で、農民運動などによって行われているような小規模農業ではないとのことである。自然では多くの生物はグループに分かれてそれぞれ別の小地域に生息しており、ある小地域のグループが病気や天敵により壊滅しても、近くの小地域に生息する別のグループがその種が壊滅した小地域に移動してくるというように、小地域での種の壊滅と再生が常時起きているとのことである。このため、森林が大資本による単一種の農作物の広大な農園などで隔離されている場合は、ある種が隔離された森林で壊滅した場合に周辺から同一種がその広大な農園を越えて隔離された森林に移動してくるのは困難であるが、隔離しているのが色々な農作物を栽培する小規模農業の場合は、動物がそこを通過して隔離された森林に移動してくるのが容易だからとのことである。
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R●廃水を使用した燃料電池を開発中(2006年8月3日、アメリカWUSTL)
アメリカのセントルイス・ワシントン大学(Washington University in St. Louis)の研究者はバクテリアを用い、廃水を燃料にした燃料電池の研究を行っているが、最大で廃液1立方mあたり29Wの出力を得たとのことである。なお、この燃料電池による発電が経済的に成り立つためには廃液1立方mあたり160Wの出力が必要だが、研究者は300W程度の出力を目指しているとのことである。
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R●人工衛星より、スマトラ沖地震で生じた重力の変化を検出(2006年8月3日、アメリカOSU)
アメリカのオハイオ州立大学の研究者は、NASAのGRACE衛星により得たデータ及びコンピューターを用いたモデルによって、2004年12月に発生したスマトラ沖地震により生じた地形の変化及び海底の岩石の密度の変化による重力の変化を検出した。
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R●水田でメタンを生成する菌のゲノムを解析(2006年8月3日、ドイツMPG)
世界全体で排出されるメタンガスの10-25%は水田の稲の根に生息する始原菌Rice Cluster I(RC-I)によって生成されており、Max Planck研究所はこのRC-Iのゲノム解析を行っているが、その結果よりRC-Iが持つ自己の存在に有利な酵素的なメカニズムが発見されたとのことである。ただし、いつこの研究成果をメタン生成の削減に役立てることができるようになるかは不明とのことである。
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R●工場跡地などを土壌の浄化を兼ね、バイオ燃料用農場へ転用(2006年8月3日、アメリカMSU)
アメリカのミシガン州立大学の研究者はダイムラークライスラー社及びNPOのNextEnergy(ホームページは-->ここ<--)と共同で、工場や産業廃棄物処理等に使われ、住宅用地や商業用地に転換が困難な跡地でバイオ燃料用作物の収穫が可能かどうか、また、これらの作物の栽培によって土壌の浄化が可能かどうかについての研究を行っている。
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T○アメリカは殺虫剤カーボフランの使用の全面禁止を提案(2006年8月3日、アメリカEPA)
アメリカのEPAは、殺虫剤として用いられているカーボフランは人体や、散布域の鳥類等に有害として、カーボフランの主な使用は即時に禁止し、農業における少量の使用については4年の猶予期間後禁止する提案を行った。なお、食品や飲用水中のカーボフランの許容量はゼロにするようである。
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T●NASAは航空機によって絶滅したと考えられていた鳥を探索(2006年8月2日、アメリカNASA)
アメリカのIvory-billedウッドペッカーは絶滅したと考えられていたが、近年この鳥の目撃報告があり、NASAはこの鳥の生息に適した場所を探索するために、レーザー光を使用する航空機搭載のLaser Vegetation Imaging Sensorを用いて、生息している可能性があると考えられる地域での地上から木々の枝の先までの植物の繁茂具合等を調べている。
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D●海運業界で使用されているオゾン層に影響を与えるメチルブロマイドの回収(2006年8月2日、アメリカACS/Environmental Science and Technology誌)
殺虫剤のメチルブロマイドはオゾン層破壊をもたらすガスとして、モントリオール協定により2005年迄に先進国での使用が禁止となっていたが、代替手段が無い場合については規制の除外が認められ、現在でも海運業での貨物の燻蒸等に広く用いられているが、アメリカのUSGSの研究者はコンテナー等の貨物の燻蒸に用いられたメチルブロマイドを回収する装置を開発した。ただし、ECの一部の国では海運業での貨物の燻蒸に対してもメチルブロマイドの使用が既に禁止されている。
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T●アメリカの石炭発電業界は将来の規制の不確かさに苦慮(2006年8月2日、アメリカACS/Environmental Science and Technology誌)
アメリカでは、2025年迄に140発電所、総発電量85GWという、ここ30年来なかったような石炭発電所の建設の提案のラッシュがおきているが、石炭発電業界は、2酸化炭素排出に関する規制がアメリカで将来どのようになるのか不確かなので、発電設備そのものの建設コストは安いが、排出される2酸化炭素の回収は困難で高コストな従来方式の発電所を建設するか、発電設備の建設コストは従来方式のものに比べ20%以上高いが、排出される2酸化炭素の回収が容易で低コストな石炭ガス化方式(IGCC)の発電所を建設するかについての選択で苦慮しているとのことである。
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-->IGCCについて<--

T●カナダ政府は油汚れ落としなどに用いられるフッ素テロマーの規制を提案(2006年8月2日、アメリカACS/Environmental Science and Technology誌)
カナダ政府の環境及び健康を所轄する省庁は、油汚れ落としなどに広く用いられているフッ素テロマーの重合体4種に対して適用してきた一時規制を永久化する提案を行った。なお、フッ素テロマーは自然環境では分解されず、人体への有害性が最近指摘され、アメリカはフッ素テロマー製造業者に対し自主的に関連物質であるパーフルオロオクタン酸(PFOA)の削減を求めており、ECも現在新たに開発されたフッ素テロマー製品の輸入を禁止する提案を行っている。
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T●ブラジルでの小規模な林業による選択伐採は皆伐を誘発(2006年8月1日、アメリカNASA)
アメリカのCarnegie InstitutionのGreg氏が率いる研究者が、人工衛星Landsat7及びEO-1によって得られたデータを用いて行ったブラジルのアマゾン川流域の46000平方kmの領域の森林の伐採状況の調査によると、選択的な伐採のほとんどは主要道路から5kmの範囲で行われているが、この範囲内では選択的な伐採と皆伐(編注:clear cutting,地域内の樹木全てを伐採してしまうこと。)との間には特に関連はなかったが、主要道路から5-25kmの範囲内で林業者により選択伐採が行われた場合、その後その地域の森林が酪農者や農業者によって皆伐されてしまう確率は、選択伐採が行われていない地域の森林に対し2-4倍高く、選択伐採を行った地域の16%は一年以内に、32%は4年以内に皆伐されてしまっているとのことである。なお、選択伐採は森林に非常にダメージを与える手法で行われているが、政府によって保護されている地域が荒らされることはほとんど無いとのことである。
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-->Proceedings of the National Academy of Sciences誌掲載の論文の要旨を読む<--

T●気候変動による地球表面の木々の枝葉の先から地下水迄の領域の変動の研究が必要(2006年8月1日、アメリカNSF)
地球の生物を含んだ表皮部分にあたる、木々の枝葉の先から地下水迄のクリティカルゾーンと名付けられた領域は、土壌及び生物の多様性が非常に高く、食料生産などを介して人類に大きな影響を与えるが、最近発表された報告書では、このクリティカルゾーンがグローバルおよび地域的な変動によりどのように変化するのかについて、地質学、土壌科学、生物学、生態学、化学、地球化学、地形学及び水文学といった多様な分野からのシステマティックな研究が必要とのことである。
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-->報告書をダウンロード(PDF)<--

D○レーダーを用いた新技術による数時間先の降水予報精度の向上(2006年8月1日、アメリカNCAR)
アメリカのNational Center for Atmospheric Research(NCAR)は4台のドップラーレーダー、人工衛星、ラジオゾンデ、GPSを用いた大気中の水分を計測するセンサーおよびコンピュータモデルを用いて、ドップラーレーダーにより、数分から数時間先の降水の予報を試みるプロジェクト(Refractivity Experiment for H2O Research and Collaborative Operational Technology Transfer)を6月5日より8月11日にかけて行っている。ドップラーレーダーは通常は反射されてきた電波の強度により降雨量や降雪量を、反射されてきた電波の周波数の変化により風速を推定することに用いられるが、低層大気中の水分の有無については観測できない。また地上の測候所やラジオゾンデによる観測は通常は50-100マイル(約80-160km)といった距離間隔で行われるので、このような観測点間の低層大気中の水分の有無についてはわからない。これに対し、このプロジェクトでは地上のサイロや送電線といったレーダーからの距離が既知のターゲットを用いることによって電波の伝播速度の変化を計測し、それによりレーダーからこれらのターゲットの間の低層大気中の水分の有無を知ることに用いられる。これにより、降水の数分から数時間先の予報が可能になるとのことであり、このプロジェクトが成功すれば、この手法が実用に供されるかもしれないとのことである。
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R○沿岸の湿地帯特有の種が危機に(2006年8月1日、アメリカAIBS)
沿岸の海水による湿地帯は世界全体で45000平方km程度で、主に北米や中国の中緯度から高緯度の河口域内や外海からの防壁となるような島々の背後に形成される。このような沿岸の湿地帯は他の湿地帯と比べると僅かな非水性脊椎動物をサポートするにすぎないが、沿岸の湿地帯の特異性は、他では見られないような種や亜種の進化を促してきた。このような湿地帯に生息する種は、比較的不浸透な皮膚や、生息環境における高い塩分を体内から排出できるような腺や腎臓を持っていて、多くの種の体色は生息域の土壌の色にマッチした灰色や黒色であり、全世界で25種のうち24種は北米に生息する。このように沿岸の湿地帯特有の種や亜種は、少ない種、高塩分、しばしば起きる冠水といった厳しい環境に適応してきたが、Smithonian Migratory Bird CenterのGreenberg氏によれば、沿岸開発や海面上昇に伴う湿地帯の面積の減少や有毒な廃棄物や外来種の侵出により脅威にさらされているとのことである。
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R●地中海の熱水鉱床の鉛は汚染の結果(2006年8月1日、アメリカUF)
フロリダ大学の研究者が地中海の熱水鉱床で得たサンプルを分析し、Marine Geology誌に発表した結果によると、そこに含まれていた鉛はオーストラリアの鉱山起源のものであったとのことである。この研究者によれば、オーストラリアからヨーロッパに輸出された鉛がヨーロッパでガソリンに加えられ、このガソリン中の鉛が燃焼によって大気に放出され、その後地中海の海水に転移したのではないかとのことである。
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