このページは当時業所運営者の過去の研究、業務実績の一部をご紹介するページです。

当事業所では海洋・水産・気象関連のデータ処理・解析や数値計算を主に行っていますが、他分野の諸計算・統計解析業務についてもお受け致します。個人やNPO、NGOのお客様も歓迎致します。

当事業所について

(a)An Application of a Two-Layer Model to Wind Driven Sub-Tidal Currents in Puget Sound (日本海洋学会英文誌、1995) 著者:松浦浩

(b)Wind Effects on Sub-Tidal Currents in Puget Sound(日本海洋学会英文誌、1997) 
著者:松浦浩、Glenn A Cannon

プージェットサウンド(アメリカ、ワシントン州)で取得した流速計、CTDのデータ解析および、解析モデルを用いて風の流れへの影響を調べた。

プージェットサウンドにおいては風と流れの相関が表層のみではなく、中、下層においても見られる(ただし、負の相関)ことが指摘されていたが、中、下層の流れと風との関連についてはくわしくは研究されていなかった。本研究はこの中、下層の流れと風との関連を定性的および、定量的に記述し、また、解析モデルを数学的に解きその解を調べることにより、表層を含めたプージェットサウンドにおける流れへの風の影響の物理を把握することを目的とした。

成層が弱い場合は、風の流れへの直接の影響は深さ100m以上においても表面から伝達するのが認められたが、成層が強い場合は、表面からの直接の影響は深さ30m程度に限られた。また、この場合、全体を30mで表層と下層に分け、その質量輸送を計算したところ、表層と下層の質量輸送は非常に高い負の相関を示し、また、その両者の和はほぼ互いに打ち消しあい、全層の質量輸送はほぼゼロとなった。この各層の質量輸送と風速の相関は非常に高かった。なお、EOF解析の結果、風の影響は最初のモードであった。2層モデル(a)および、連続成層ノーマルモードモデル(b)の解を求め、その結果を応用したが、観測結果とよく一致した。これらのモデルの解により、流れの加速度が、風が吹き始めると最初は風の吹いてゆく方向に一致するが、次第に加速度は減少し、さらには風の吹いてくる方向になるのは、流れによる抵抗が、加速度及び風に対して位相が遅れることによるものであることが推察された。また連続成層モデルの結果、成層が弱い時期にプージェットサウンドで観測された風成流は、いくつかのモード(ノーマルモード)の混合である可能性が示された。このモデルはまた、これらのモード間の相関は非常に高く、EOFでは分解できないが、渦粘性係数や成層の強弱によってモード間の相関は多少変化することが示された。

2層モデルの論文(a)(pdf)のダウンロードはこちらへ。(英文です。)

連続成層モデル及びデータ解析の論文(b)(pdf)ダウンロードはこちらへ。(英文です。)