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2006年10月のニュース

T○カリフォルニア州は温室効果ガスを大量に排出する発電所との長期契約を禁止(2006年10月24日、アメリカACS/Environmental Science and Technology誌)
アメリカのカリフォルニア州のシュワルツェネッガー知事は、10月1日にカリフォルニア州の電力会社に対し、新しく制定した温室効果ガス排出基準を満たさない発電所との5年以上の契約を禁止する条例に署名した。この条例は発電所の使用燃料には関わらず適用されるが、実質石炭火力発電所が対象となる。また、この条例は州外の発電所から電力を購入する場合にも適用されるが、カリフォルニア州外の西海岸で建設が予定されている35以上の石炭火力発電所の多くはカリフォルニアを市場と考えているので、この条例によりこういったカリフォルニア州外の石炭火力発電所の建設計画にも今後大きな影響を与えることが推測されている。なお、シュワルツェネッガー知事は9 月下旬に温室効果ガス排出量を2020年迄に1990年のレベル迄、2050年迄に1990年の80%のレベル迄削減させる条例に署名している。(編注:シュワルツェネッガー氏は共和党所属であるが、最近はブッシュ大統領ともやや距離を置いたり、短期的な視点で見た場合には産業界に負担を掛けるような環境保護策をかなり積極的に推進したりしているようである。同氏の2酸化炭素市場への参加に関する記事は下の関連記事を参照)
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-->カリフォルニアの2酸化炭素市場への参加に関する関連記事を読む<--
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R●世界各地の雷雨の様子を人工衛星より観測(2006年10月26日、アメリカNASA)
アメリカのユタ大学、その他の大学及び民間会社の研究者達はNASAのTropical Rainfall Measuring Mission(TRMM)衛星による1998年から2004年にかけてのデータを用いて世界各地における個々の雷雨の強度、高さ、温度及び電光の発生回数を調べたが、それによると、最も激しい雷雨は高温高湿度の空気が低温低湿度の空気とぶつかるアルゼンチンのアンデス山脈の東側で発生し、また、準乾燥地帯であるサハラ南辺、オーストラリア北部やインド亜大陸の一部では強い雷雨が発生するのに対し、降雨量の多いアマゾン西部や東南アジアでは雷雨は多いものの、強い雷雨はあまり発生していないことがわかった。その他、強い雷雨は海よりは陸地の上空で発生し、海上で発生する場合は中米や西アフリカの西の海上、アメリカ南東部、南米、オーストラリアやアフリカの東の海上のように陸上から海上へ雷雨が移動してくるような海域であり、世界各地での強い雷雨の発生には季節性があるとのことである。
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R●宇宙線が雲を介して地球の気候に与える影響に関する実験を開始(2006年10月19日、ヨーロッパCERN)
宇宙線はエアロゾル(浮遊粒子)の発生への影響を介して雲の生成に影響を与え、その結果地球の気候に影響を与える可能性があるが詳細についてはよくわかっていない。これに対しヨーロッパ9ヶ国、アメリカ及びロシアの研究者達はEuropean Organization for Nuclear Research(CERNはフランス語表記の略)の加速器を用いて陸上の実験室環境下において加速された粒子がエアロゾルの発生へ与える影響を調べるためのCLOUD(Cosmics Leaving OUtdoor Droplets)と名付けられた実験を開始した。
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R●今世紀中の熱波の増加等について複数のコンピュータモデルの結果が一致(2006年10月19日、アメリカNCAR)
アメリカのNCAR及びその他の研究機関の研究者達は、地球温暖化によって熱波や豪雨といった極端な気象状況の発生が世界各地でどのように変化するかについて、Intergovernmental Panel on Climate Changeに報告するために、世界各国の計9個のコンピュータモデルを用いて調べた。これらのシミュレーションにおける温室効果ガスの濃度については、想定される3種類のシナリオが用いられたが、これらの3種のシナリオ及び各モデルに共通して2080-2099年の期間では以下のような結果が示された。
・陸上の世界各地で非常に暖かい夜の発生回数及び熱波の期間がかなり増大し、熱波の最中には夜間の温度があまり下がらず、それにより死亡する人数が増加する。
・北緯40度以北の地域の多くにおいて降雨量が0.4インチ(約10mm)以上の日数が大幅に増大する。
・アメリカ西部、ヨーロッパ南部、ブラジル東部及びその他の地域で乾燥期間が増大する。
・北米及びユーラシアで成長期(植物)が増加する。
なお、上のような傾向は温室効果ガスの濃度が低い場合は高い場合に比べかなり小さくなるとのことである。
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R●グリーンランドの氷床は減少(2006年10月19日、アメリカNASA)
NASAの研究者達はグリーンランドを内陸から沿岸への氷床の移動方向を基にして6つの”流域”に分割し、それぞれについてGRACE衛星のデータ(人工衛星軌道下の質量の変化に伴う重力の変化によって生じる人工衛星の軌道の微細な変動のデータ)を用いて2003年7月から2005年7月の期間での氷床の重量の変化を調べたが、その結果によると、内陸部の高地では降雪により年間54ギガトンの氷が加えられているのに対し、沿岸部では年間155ギガトンの氷が主にグリーンランド南東部で失われていたとのことである。なお、グリーンランド北部での氷の量はほとんど変わらなかったとのことであり、この研究結果によって示されたグリーンランドの氷の逸失量は同じ衛星のデータを用いて行われた過去の研究結果より半分以上少ないとのことである。(編注:グリーンランドの氷の逸失量の具体的な数値については、今のところ、研究によりかなりのばらつきがあるようである。GRACE衛星による観測は2002年に開始されたが、GRACE衛星と同等の原理で地球上の氷や水の質量を見積もるような人工衛星による観測は過去にないので、研究結果の一致を見るのはまだしばらく先になるかもしれない。下の過去掲載の関連記事へのリンクを参照 )
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R●南極の深海の泥水噴出地で微生物がメタンを摂食(2006年10月19日、ドイツMPG)
南極のバレンツ海の大陸棚斜面の水深1250mの地点で1990年に発見されたHaakon Mosbyという泥、水及びメタンを噴出している約1平方kmの広さの泥水噴出地(mud volcano)を、ドイツのマックスプランク研究所その他の研究機関の研究者達が調査したが、それによると、この泥水噴出地の中央部の表面ではメタンを摂取し酸素を用いて酸化する(編注:人類は呼吸によって得た酸素を用いた酸化反応によりエネルギーを得ている)以前に知られていなかったバクテリアが存在し、その下にはバクテリアと共生している新種の始原菌(Archaea)がメタンを摂取し、酸素ではなく硫酸塩を用いて酸化していることが見出された。また、この泥水噴出地では海底下から噴出されているメタンの40%しか微生物に摂取されておらず、メタンの摂取は中央部ではなく主に周辺のハオリムシ生息域で盛んであるが、これは海底下からの泥水の噴出が盛んな中央部ではメタンの酸化に必要な酸素や硫酸塩が不足しているが、ハオリムシ生息域では海底下60cm程度に根を持つハオリムシが周辺の海水を海底下に送り込むため、周辺の海水に含まれる酸素や硫酸塩をハオリムシの根付近の微生物が利用できるためであるとのことである。
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-->Nature誌に掲載されたLetterの第一段落(要旨)を読む<--
-->Nature誌提供のポッドキャスト番組をダウンロード(パソコンでも再生可なMP3ファイル、最初から約5分12秒後より)<--
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R●漁業は漁獲対象となる魚類の生息数に大きく影響(2006年10月18日、アメリカSIO)
アメリカ及びイギリスの研究者は、同一環境にある漁獲対象となる魚及び漁獲対象とならない魚の稚魚の数量を調査することにより、漁業が漁獲対象魚の生息数に与える影響を環境の変化の影響から分離して調べたが、その結果によると漁獲対象魚の生息数の変動は大きく、漁業はそれに大きな影響を与えているとのことである。これは、ただ単なる漁獲による漁獲対象魚の数量の減少以外に、漁業では一般に年齢の高い大きな個体を選択的に漁獲するが、これは結果として環境の変化に強く繁殖能力の高い個体を取り除き、環境の変化に弱い稚魚に近い個体を残すことになり、このため漁獲対象となる魚の生息数は環境の変化にも影響されやすくなることにもよるとのことであり、漁業管理は漁獲量を管理するだけではなく、漁獲対象となる魚の年齢構成が適正に保たれるようにもする必要があるとのことである。
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-->Nature誌掲載のletterの第一段落(要旨)を読む<--

R●アメリカの部分循環湖で高塩分下で硝酸塩を摂取するバクテリアを発見(2006年10月16日、アメリカ モンタナ州立大)
アメリカのワシントン州にあるSoap湖は表層の塩分は海水の半分程度であるが、下層の塩分は海水の2倍以上もあり、表層と下層の水は過去2千年から1万年程度の期間に一度も十分に混合したことがないと推定されている部分循環湖(meromictic lake)であるが、モンタナ大学のPeyton氏は、この湖の近傍のソルトフラットの泥中より硝酸塩を摂取し、環境に対し比較的無害な窒素を排出するバクテリアHalomonas campisalisを発見した。このバクテリアにより高塩分の硝酸塩を含む廃水や、爆発物や肥料製造後の廃水を処理できるかもしれないとのことである。なお、Soap湖は1950年代の潅漑事業により次第に塩分が低下している。
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R●レーダーを用いて棚氷の内部構造及び底部の融解速度を調査(2006年10月16日、英BAS)
イギリスのBritish Antarctic Surveyの研究者はレーダーを用いてイギリスの2倍以上の大きさであるFilchner-Ronne棚氷の内部構造および、底部の融解速度を調べている。
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R●南極の棚氷の崩壊は人類によって引き起こされた温暖化による(2006年10月16日、イギリスBAS)
2002年に3250平方kmのLarsen棚氷が崩壊したが、イギリスとベルギーの研究者が行った研究によると、これは人類の活動の結果である温暖化とオゾンホールの発生によって南極半島北部で西風が強化され、その結果南極半島の2千m級の山々で構成される自然のバリアーを暖かい空気が越え、それにより夏期には南極半島北東部では気温が5度C程度上昇し、そのため融解した水がLarsen棚氷のクレバスに流れ込み、棚氷が割れる原因となったとのことである。なお、この研究結果はJournal of Climateに掲載予定である。
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R●海洋生物による海水の混合は気候に影響を与える程大(200610月13日、アメリカFSU)
フロリダ州立大学のDewar氏を中心とする研究者によると、植物プランクトンによって有機物として貯蔵されるエネルギーは年間63テラワットに達し、これらのプランクトンが生態系の底辺となっている海洋の生物圏全体ではこの1%を遊泳等の運動エネルギーとして消費し、この量は風や潮汐による混合のエネルギーに匹敵する位であり、このような量の混合は気候に大きな影響を与えているかもしれないとのことである。なお、2001年に人類全体が消費したエネルギーは13.5テラワットである。(編注:海洋において生物の運動が海洋の物理面に与える影響については従来はほとんど全く考慮されていない。生息・行動域が限られているプランクトン類はともかく、行動域が広く、またあまりよく知られていない魚類等の遊泳による混合の影響をコンピュータモデル上で再現するのはかなり困難と思われる。)
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R●アラスカの湖沼が縮小(2006年10月12日、アメリカ アラスカ大)
アラスカでは過去50年間に温暖化に伴う(植物の)成長期の長期化、凍土の融解の増加及び開水面や植物からの蒸発の増加が生じているが、降水量の大きな増加は生じておらず、アラスカ大学フェアバンクス校の研究者達が行った1950年代以後の航空写真及び人工衛星による画像の解析の結果、アラスカの1万以上の湖沼(編注:原文ではpondとなっているが、日本の感覚では小さな湖程度の大きさでもpondになるので湖沼が適当と思われる)のサイズ及び数の、特に1970年代以後における、重大な減少が見出された。この湖沼の縮小はアラスカ内陸部の低地における広範囲における地下水面の低下を意味するかもしれず、地下水面の低下は水鳥の繁殖や土壌からの2酸化炭素放出の増加を通して気候へ重大な影響を与えるかもしれないとのことである。
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R●大気中の砂塵がハリケーンを弱める可能性有り(2006年10月10日、アメリカ ウィスコンシン大)
ウィスコンシン大学のEvan氏を中心とする研究者達は過去25年間の人工衛星のデータを調べたが、その結果によるとサハラ砂漠で巻き上げられアフリカ西岸から貿易風によって大西洋上に吹き飛ばされる砂塵が少ない年は大西洋で強大なハリケーンが多く、砂塵が多い年はハリケーンが少ないことを見出した。ただし、現時点では、この砂塵がハリケーンに影響を与えているのか、別の要因がハリケーンの強度と砂塵双方に影響を与えているため両者の相関が高いのかはわかっていないとのことである。
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R●ハリケーンによる高潮の高さが沿岸捕捉波により予測以上に増大(2006年10月9日、アメリカFSU)
昨年ハリケーンがフロリダ北部を通過した際に、Apalanchee湾(編注:フロリダ半島の付け根付近のメキシコ湾側)で生じた高潮は局地的な風に基づいた予測より3−4フィート(約0.9-1.2m)高かったが、フロリダ州立大学およびNOAAの研究者によると、この高潮の強大化はフロリダ南西部でこのハリケーンにより発生し、ハリケーンとほぼ同じスピードで北上した沿岸補足波の一種である地形性ロスビー波(編注:地球の自転及び地形の影響により、沿岸に沿って伝搬する波で、波動としての性質を持つが、普段我々が目にするような風波に比べると水平距離のスケールが非常に大きく、肉眼で見ても波には見えない。)によるとのことである。
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R●中南米からの煙がアメリカ南部の大気を汚染(2006年10月6日、アメリカNASA)
ハーバード大学、アラバマ大学、海軍研究所。コロラド州立大学、NASA及びウィスコンシン大学の研究者達は、コンピュータモデル及び人工衛星のデータを用い、2003年の4月から5月にかけて、メキシコ南部からユカタン半島にかけての野火によるエアロゾル(大気中の浮遊粒子)を含む大量の煙がアメリカ南部メキシコ湾岸沿いのテキサスやオクラホマ州といったあたりに到達し、視程や大気の質の低下といった大気汚染を引き起こし、地表近くの気温の低下、大気上層での気温の上昇及びこれらに伴う大気下層での煙のエアロゾルの滞留を引き起こしたことを見出した。なお、煙の粒子やエアロゾルは太陽光を散乱させるが、黒色の炭素によるエアロゾルは太陽光を吸収し、これらの効果によって煙は大気内の温度の分布を変化させ、水分の蒸発や雲の生成に影響を与えたりする。
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-->Journal of Geophysical Research誌掲載の論文の要旨を読む<--

R●石鹸や歯磨き粉等によく使用されているトリクロサンは環境ホルモンとして作用(2006年10月5日、カナダ UVic)
カナダのビクトリア大学のVeldhoen氏を中心とした研究者が行った実験によると、オタマジャクシを通常の環境下で見られるのと同程度のレベルのトリクロサンに晒すと、トリクロサンが環境ホルモンのように作用してオタマジャクシからカエルへの成長過程が無視できないほど乱されるとのことである。トリクロサンは
消毒のために石鹸、歯磨き粉、加工食品や衣類等によく用いられているが、人間の母乳中にも検出されていて、その構造は人間の早期成長過程に重大な影響を与える甲状腺ホルモンとよく似ているので人体への影響が心配されるとのことである。
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-->Environmental Science and Technologyのホームページに掲載の記事を読む<--
-->Aquatic Toxicology誌掲載の論文の要旨を読む<--

T●弱いエルニーニョ発生(2006年10月5日、アメリカNASA)
アメリカのNASAは過去数週間においてAqua及びJason衛星により、エルニーニョの特徴である中央及び東部赤道太平洋における温度及び海面高度の上昇を観測したが、現在の気候に大きな影響を与えるには、今の所このエルニーニョは弱すぎるとのことである。なお、NOAAは、これもエルニーニョの特徴である、インドネシア、マレーシア及びフィリピンにおける降水量の減少を観測したとのことである。
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T●大豆を原料とした木材用接着剤の復活(2006年10月4日、アメリカACS/Environmental Science and Technology誌)
大豆を原料とした木材用の接着剤は1950年代迄は普及していたが、その後耐水性が高く使用前の品質保持期限が長い石油を原料としたホルムアルデヒドを含む接着剤に取って代わられた。しかし、石油を原料とした接着剤は揮発性の有機化合物(VOC)を放出するため、人間の健康に害を与える可能性があるので、フェノールホルムアルデヒド樹脂と大豆粉を1対1の割合で混合し、VOCの放出を削減すると同時にホルムアルデヒドによる耐水性を維持した安価な接着剤がHeartland Resource Technologies社で開発された。なお、世界保健機構(WHO)はホルムアルデヒドを発ガン物質と見なしている。
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R●熱帯域の種多様性は地球全体の種多様性にとって重要(2006年10月4日、アメリカ シカゴ大)
熱帯域は他の地域に比べ種の多様性が大変高いが、シカゴ大学のJablonski氏を中心とする研究者のグループが過去1100万年間の化石化した二枚貝について、種の発生、他地域への派生及び消滅について調べた結果によると、熱帯域の種の多様性は熱帯域は新種が生まれるところであると同時に、古い種が生き残る場所であるためであるとのことである。また、高緯度域においては、熱帯域から派生した種は高緯度域で発生した種より2倍以上多く、このため熱帯域の種の多様性を維持することは地球全体の種の多様性を維持するために重要とのことである。
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R●前の氷河時代の北大西洋の温度上昇と塩分の関係(2006年10月4日、アメリカUCD)
現在大西洋の大規模な循環は、北大西洋の塩分に大きく影響され気候に重大な影響を与えると考えられているが、カリフォルニア大学デーヴィス校の大学院生だったSchmidt氏を中心とする研究者は深海の堆積物柱(編注:海底の堆積物を採取する場合は海底に中空のパイプを打ち込むが、このパイプの内部に入った柱状の堆積物)中の動物プランクトンの化石より6千年前から4万5千年前の海洋の温度と塩分を再現し、この結果とグリーンランドの氷柱に記録された、Dansgaard-Oeschgerサイクルと呼ばれる数十年程度の期間に5-10度Cの温度上昇という何度も生じた急激な気候の変動と比較したが、その結果によると、このDansgaard-Oeschgerサイクルと北大西洋の表層水の塩分の急激な変化の時期はマッチしており、グリーンランドの温度上昇の時期には北大西洋の塩分が低下していたとのことである。なお、北大西洋の塩分は海氷の融解にともなう高緯度域からの淡水流入による低化が近年注目されているが、それ以外にも大西洋の東西岸を巡るような大循環により影響され、低緯度域から高温高塩分の水が運ばれてくるため、低緯度域での降水量やその分布にも影響される。
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R●北極海の水温上昇は進行(2006年10月4日、ドイツAWI)
ドイツ及びポーランドの研究者は、グリーンランドとノルウェーのスピッツベルゲン間の海氷の周囲を暖水を追って観測を行ったが、その結果によると、ノルウェー海から北極海に流入する海水の温度は平均して昨年より0.8度C高く、ノルウェー海の動物プランクトンが従来観測されなかった高緯度で見出されたとのことである。
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R●ガラパゴスアホウドリの減少は漁業による(2006年10月3日、アメリカWFU)
Wake Forest大学の大学院生であるAwkerman氏は、ほとんどのガラパゴスアホウドリ(Waved albatoss)の繁殖地となっているエスパニョーラ島におけるガラパゴスアホウドリの生存率について調べたが、同氏によると識別バンドを装着したガラパゴスアホウドリの約1%、特に雄鳥が漁網に絡んで死亡したり、食用として捕獲されて死亡しており、この割合で死亡すれば種の存続に悪影響を与えるとのことである。なお、この問題に対し、エクアドルやペルー政府に注意を喚起しているとのことである。
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R●今年の夏の北極海の海氷は記録上4番目に少(2006年10月3日、アメリカ コロラド大)
今年の1月から7月中旬迄の北極海の結氷域は昨年より少なかったが、8月は比較的低温で風が強かったため、今年の夏の北極海の海氷の減少のピークとなった9月14日では、人工衛星による29年間の記録上結氷域が最低となった昨年よりは海氷が多く、記録上4番目に小となった。しかし、9月には気温が平均より高いという状態に戻り、結氷が遅くなり、今月の結氷域は記録上最低となる可能性があるとのことである。なお、今年の北極海の特徴はポリニアと呼ばれる巨大な開氷域の発達であるが、このポリニアと地球温暖化との関連は明確ではないが、氷に比べ開水面は色が濃いため、海氷が減少すると太陽光がより吸収され、それによって、海水温及び気温が上昇し、そのためにさらに海氷が融解するという悪循環が起き始めているかもしれないとのことである。
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R●アラスカ湾の低気圧で発生したうねりによって南極の氷山が割れる(2006年10月2日、アメリカ シカゴ大)
2000年に南極のロス海で生じた全長約96km幅約30kmという巨大な氷山が、昨年の10月の穏やかな日に半分に割れたが、アメリカのシカゴ大学のMacAyeal氏を中心とする研究者によると、この氷山に設置してあった地震計のデータ、ハワイ及びアラスカの波高計のデータにより、この氷山が割れた原因はアラスカ湾の強い低気圧で発生したうねりが伝搬してきたことによるものとのことである。なお、近年地球温暖化により嵐の強大化が起きるという推測があるが、嵐の強大化が南極の氷床に与える影響については考慮されたことがないとのことである。
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R●今年の南極上空の夏のオゾン減少は記録最大に近い(2006年10月2日、ヨーロッパESA)
南極上空のオゾンホールの今年の夏の範囲は2800万平方kmで、これは2000年の最大記録に匹敵する広さであり、その厚みを考慮すると、オゾンの減少量は2000年を上回り、1998年の記録に近かったが、これは南極上空の気温が1979年以来最低となったためと考えられるとのことである。
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