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2006年9月のニュース

R●黒海で酸化数3のマンガンが硫化水素の上昇を制限(2006年9月29日、アメリカ デラウェア大)
黒海の海中には自然に発生する硫化水素によりほとんどの生物が生存できないデッドゾーンと呼ばれる層があり、その上に硫化水素及び酸素の少ない層があるが、従来自然には安定して存在しないと考えられていた酸化数3のマンガンによる硫化水素の酸化により、デッドゾーンから生物が多く生息する表層に硫化水素が達するのが制約されているとのことである。
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R●北半球上空の強い風により成層圏上部のオゾン破壊ガスが増加(2006年9月28日、アメリカ コロラド大)
コロラド大学のRandall氏を中心とする研究者によれば、2006年の2月に北極上空の成層圏の風が非常に強くなり、これにより非常に大量のオゾン破壊ガスであるNOxガスが成層圏上部に下降してきたとのことである。なお、成層圏上部には元々オゾンの量は少なく、この現象により皮膚ガン等の害が増加する等の直接の害はあまり考えられないが、大気の温度に影響を与える可能性があるとのことである。
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T○アメリカの大保険会社の地球温暖化への対応(2006年9月27日、アメリカACS/Environmental Science and Technology誌)
世界で有数の保険会社であり年間売上げが50億ドルに近いMarsh社は最近Business Environmental Leadership Council(BELC)に参加し、地球温暖化の結果生じる可能性のある経済的な悪影響からの自社の保護に乗り出した。なお、BELCは現在主にフォーチューン500に含まれる化学、製薬、鉱山やエネルギーといった分野の41社より構成され、利潤や競争力と同時に地球温暖化への対策も追求している。
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-->この件に関するMarsh社のホームページへ移動<--
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-->KCRW の番組"To the Point"での関連した放送のポッドキャスト<--

T●太陽風嵐によりGPS利用に障害(2006年9月26日、アメリカ コーネル大)
アメリカのコーネル大の大学院生は2005年9月に発生した太陽風嵐の際に、地球の昼側にあったGPS受信機にメーカとは無関係に受信信号が減衰するという障害が発生したことを発見した。この太陽風嵐の規模は中程度でこの際に発生した信号の減衰は最大で15分であったが、次の太陽活動のピークと考えられている2011-2012年にはもっと強く数時間といった長時間にわたる太陽風嵐が発生する可能性があり、注意が必要とのことである。なお、この障害の原因は太陽風嵐に伴って生じる太陽からの電磁波の放射の周波数域がGPS衛星が使用する周波数域と同じであるため、受信機側で問題が発生することによるとのことである。
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R●北極海に暖かい水が流入(2006年9月26日、アメリカ アラスカ大)
アラスカ大学の研究者によれば、過去10年間において、北極海への暖かい水の流入は増加し、2004年にはLaptev海の大陸棚斜面上150-800mの深さで暖水の流入が認められたが、今年は北極海のさらに奥まで暖水の流入が見られ、この暖水により北極海全体の温度が上昇する可能性があるとのことである。なお、暖水の流入の原因についてはさらなる調査が必要とのことである。
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R●地球の温度は現在の間氷期の最高に近づく(2006年9月25日、アメリカNASA)
NASAのHansen氏その他の研究者が行った研究によると、過去30年間の10年につき0.2度Cという急速な温暖化により、西部赤道太平洋やインド洋の温度は前の氷河期以後過去12000年継続している現在の間氷期での最高温に近くなり、世界全体では温暖化は北半球で緯度の高い程、また、海上より陸上で大きいとのことである。これに対し東部太平洋ではこのような温暖化は認められず、熱帯太平洋の東西の温度差の増加により強いエルニーニョの発生が促される可能性があるとのことである。なお、地球の温度は過去12000年間の最高温の1度C以内に達し、現在より2~3度C以上気温が上昇すると、現在より海面が25m高かった鮮新世のレベルに達し、地球が現在とはかなり異なった状態になるかもしれず、また、このような温暖化に対し、植物や動物の高緯度への移動が間に合っていないとのことである。
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-->Proceedings of the National Academy of Sciences誌掲載の論文を読む<--

R○グリーンランドの氷床の減少は加速(2006年9月20日、アメリカU of Col)
アメリカのコロラド大学のVelicogna氏及びWahr氏は、NASAのGRACE衛星を用いてグリーンランドの氷床の減少について調べたが、その結果によるとグリーンランドは2004年4月から2006年4月の2年間で北米のエリー湖の貯水量を凌ぐ164立方マイル(約672立方km)の氷を失ったとのことである。これは最近テキサス大学の研究者が発表した2002年から2005年にかけての年平均逸失量57立方マイルを上回っており、氷床の逸失の増加は主にグリーンランド南部で2004年以後に生じている。グリーンランド南部の気温は過去20年間に約2.4度C増加しており、他の研究者が行った人工衛星搭載のレーダーによる観測によればKangerdlugssaq及びHelheim氷河の移動も加速している。コロラド大学のSteffen氏によれば、雪氷の表面が融解すると、氷床の底が滑りやすくなり、沿岸への氷床の移動速度が増加するとのことである。なお、グリーンランドの氷の融解は海面上昇を引き起こすだけではなく、グリーンランドからの淡水の大量の供給により北大西洋の海流の変化をもたらし、それによって北部ヨーロッパの気候に大きな変化をもたらす可能性がある。
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-->Nature誌掲載のLetterの第一段落を読む<--
-->テキサス大学の研究の記事を読む<--
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R○アマゾンの森林の開墾の気候への影響(2006年9月19日、アメリカNASA)
メリーランド大学のMorton氏を中心とする研究者達は、NASAのTerra及びAqua衛星が搭載する地上の植生の違いを識別可能なMODISというセンサーによるデータ及び現場での野外調査による情報を用いて、ブラジルのMato Grosso州における農耕地利用のための森林の開墾について調査したが、それによると、2003年においては同州の森林の20%以上が農耕地として開墾され、農作物のための開墾は平均して牧草のための開墾の面積の2倍で、また、森林伐採後1年以内に90%の土地に作物が植えられた。他の種類の土地利用に比較すると、農作物のための開墾は通常数平方キロメートルの森林を切り開いて行われ、開墾地域に残された小面積の森林部分が他の森林域からより切り離されてしまい、また、切り株や根まで除去・焼却するため、こういった部分や土壌に含まれていた2酸化炭素が大気に放出されるといった環境への影響も大きい。その他、森林から農耕地に変わることにより、大気からの2酸化炭素の吸収が減り、太陽光の吸収、熱の輸送や水分の蒸発にも影響を与え、コンピュータモデルによる計算の結果によると、森林の農耕地への開拓は周辺の気候の温暖化及び乾燥化をもたらすが牧草地への転換は冷却効果を持つとのことである。なお、森林の農耕地への開墾は、大豆等の農作物の市場価格が高くなれば増加し、現在では森林の開墾はブラジルの最大の2酸化炭素排出源となっているとのことである。
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-->Proceedings of the National Academy of Sciences誌掲載の論文の要旨を読む<--

R●温度と塩分のデータにより海岸水の汚染を順リアルタイムで監視(2006年9月18日、アメリカUCI)
海水浴場等の海岸域の海水の汚染状況を採水して実験室で検査することにより調べるには通常数日程度の時間を要するが、これに対し、アメリカのカリフォルニア大学アーヴァィン校の研究者達は、順リアルタイムで送られてくる温度と塩分のデータに情報理論に基づく計算を適用してほぼリアルタイムで汚染状況を監視する方法を発表した。なお、この方法では、海水中のバクテリアの検査等は行われないが、ほぼ即時に汚染状況が推定できるため、海水浴場等の管理に有効とのことである。
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-->Environmental Science and Technology誌掲載の論文の要旨を読む<--

T○北米の日系自動車メーカ2社の工場がエネルギースター賞を受賞(2006年9月14日、アメリカEPA)
トヨタ及び日産の北米法人の計3工場がアメリカのEPAが汚染、エネルギー消費及びコスト削減について功績があったとして、アメリカのEPAが発行するエネルギースター賞を受賞した。なお、このエネルギースター賞はEPAの工場におけるエネルギーパフォーマンス指標により現在セメント製造業、トウモロコシ精製業及び自動車製造業において全米で上位25%に入った工場に対し授与される。なお、その他の製造業については準備中である。
-->北米トヨタの工場に関する記事を読む<--
-->北米日産の工場に関する記事を読む<--
-->エネルギースター賞に関するホームページへ移動<--

T●蛍光灯の普及に伴い環境への水銀の放出が増加(2006年9月13日、アメリカACS/Environmental Science and Technology誌)
アメリカでは蛍光灯の普及が最近進んでいるが(編注:アメリカでは電気代が安いため日本ほど蛍光灯が普及していない)2001年においては蛍光灯に使用された11.6トンの水銀の20%程度しかリサイクルされていない。アメリカの産業全体では年間201トンの水銀を消費し、約70トンが石炭発電所より排出されているので、蛍光灯からの水銀の放出は大量とは言えないが、規制の強化等による対策が必要とのことである。
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T●汚水処理場で産出される肥料用土には汚染物質が含まれている可能性有り(2006年9月13日、アメリカACS/Environmental Science and Technology誌)
汚水処理場で副産物として産出され、肥料として広く用いられているbiosolidには無視できない量の潜在的に危険な化学物質が含まれている可能性があるが、このような物質がどの程度含まれるかは、元の汚水や処理方法によって変化し、またこういった物質の有害性は最終的にどのように使われるかによっても変化するとのことである。
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-->Environmental Science and Technology誌掲載の論文の要旨を読む<--

R●過去1000年間の太陽の明るさの変化の地球温暖化への影響は小さい(2006年9月13日、アメリカUCAR)
地球の温暖化については、これは人間の諸活動の結果によるものではなく、自然に生じる現象であるとする意見もあるが、Hellophysics社のFoukal氏を中心とする研究者は過去1000年間の黒点や白斑といった太陽活動の変動に伴う太陽の明るさの変化が地球の気温に与える影響について調べたが、その結果によると、過去数100年間における地球の温暖化を説明するには太陽の明るさの変化は小さすぎるとのことである。
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R○北極海の1年を通して存在する氷が2004-2005年にかけて急に減少(2006年9月13日、アメリカAGU)
NASAのNghiem氏を中心とする研究者達は、人工衛星を用いて北極海における1年を通して存在する海氷と季節的な海氷の分布を調べたが、その結果によると2004年から2005年の期間に通年氷が急に14%も減少した。特にヨーロッパ及びアジア北方の北極海東部では通年氷は一部が北米北方の北極海西部に移動したため、通年氷の減少は50%近くになり、全体として、冬季の通年氷の減少は73万平方キロメートルに及んだ。冬季の北極海を海氷が覆う面積そのものはあまり変化していないが、消滅した通年氷は厚さが3m近くになるのに対し、これに替わって新たに冬季に生成される季節的な氷は厚さが0.3-2m程度で、夏期には融解しやすい。従って、北極海東部で相対的に増加した季節的な海氷が夏期に融けると、広大は開水域が発生し、環境、海運や商業に大きな影響を与えるかも知れない。この通年氷の急激な減少の原因については、地球温暖化による融解ではなく、風によって海氷が北極海東部から西部に、さらにグリーンランドとノルウェーのスピッツベルゲン間のフラム海峡を通して北極海の外に押し流されたためではないかと推測されている。しかし、北極海の海氷で覆われる部分がさらに減少すると、周辺の海域の温度が上昇し、それによって夏期の海氷の融解が加速され、秋期の結氷が阻害され、北極海の海氷の減少がさらに進行するという悪循環になるかもしれないとのことである。
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-->Geophysical Research Letters誌に掲載された論文の要旨を読む<--
-->ヨーロッパの研究者による関連した記事(今年の夏の海氷の減少:人工衛星画像を含む)を読む<--
-->関連データのダウンロード(HDFフォーマット;このデータの解析には専門知識が必要です。)<--

R●過去2年間の冬季の北極海の海氷は減少(2006年9月13日、アメリカNASA)
NOAAのComiso氏は1978年から2006年にかけての北極海の海氷を人工衛星のデータを用いて調べたが、その結果によると、海氷の減少は過去2年以前は10年間につき年1.5%程度であったが、過去2年の冬季は連続して6%程と非常に大であったとのことである。
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R●温暖化により北極熊が餌を捕獲する期間が減少(2006年9月13日、アメリカNASA)
白熊は、高緯度域の海が結氷する時期に海氷上でアザラシ等を捕食し、解氷期には陸地に後退して体内に蓄えられた脂肪より栄養を得て過ごすが、カナダのStirling氏及びNASAのParkinson氏は1979年から2004年の期間にかけての北極熊が生息しているカナダ北東部の海域の海氷の変化を人工衛星のデータを用いて調べたところ、ハドソン湾西部では海氷が割れ始める時期が10年間につき7-8日の割合で早まってきていることを見出した。海氷がより早期に割れ始めると、白熊の雌の狩猟期間が短縮され、このため雌の平均体重が減少し、体重が減少するにつれ、繁殖能力が減少し、また、餌を求めて人間の居住域に出没するようになる。なお、ハドソン湾の白熊の平均体重は1980年では650ポンド(約295kg)であったが、2004年には507ポンド(約約230kg)に迄減少し、1992年に発表された研究によると。416ポンド(189kg)以下の体重の雌は子を産まないとのことである。
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-->Arctic誌掲載の論文の要旨を読む(上から4番目)<--

D●嫌気性バクテリアでグルコースより水素ガスを生成(2006年9月12日、アメリカBNL)
アメリカのブルックヘヴン国立研究所のLelie氏が率いるチームは1気圧以上の圧力及び70-85度Cの温度下で、嫌気性のThermatoga neapolitanaというバクテリアを用いてグルコースより水素ガスを生成する実験を行っているが、この実験で特に注目されるのは、Thermatoga neapolitanaは低酸素環境下でも生息可能で、他の嫌気性バクテリアを使用した場合のように、酸素を完全に除去する必要がない点であるとのことである。
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R●ハリケーン・台風発生海域の海面水温の上昇は人間活動の影響(2006年9月11日、アメリカNCAR)
アメリカのローレンスリバーモアー国立研究所のSanter氏が率いる研究者達は、22の異なるコンピューターモデルを用いて、1906年から2005年にかけての過去100年間にわたる大西洋及び太平洋のハリケーンや台風が発生する熱帯域の海面水温の上昇について調べたが、その結果によると、これらの海域の海面水温の上昇は84%(編注:統計手法に基づく推論に用いる値としては84%というのは非常に高い値とは言えない)の確率で主に温暖効果ガスの排出による人間の活動に関連していることを示した。なお、ハリケーン・台風の強さに影響を与える要素は海面水温以外にも風の強さの垂直方向の変化の大きさ、水蒸気や大気の安定度等があるが、海面水温は最も重要な要素の一つであろうとのことである。
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-->Proceedings of the National Academy of Sciences誌掲載の論文の要旨を読む<--

R●シベリアの湖からのメタン放出量は従来の推測より大(2006年9月7日、アメリカUAF)
シベリアのYedomaと呼ばれる推定500ギガトンの炭素を含む永久凍土はシベリアの湖底で融け、それを食べるバクテリアがメタンの泡を発生させているが、アメリカのアラスカ大学フェアバンクス校その他の研究者達が行った研究によると、メタンの放出量は従来推測されていた量の5倍以上になっている可能性があり、北半球北部の湿地帯全体ではメタンの排出量は従来の推測より10-63%多くなるとのことである。
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T●高解像度気候予測モデルを稼働予定(2006年9月7日、アメリカORNL)
アメリカのOak Ridge National Laboratoryの研究者は、他の組織の研究者と共同で、完全な炭素循環、地上の生物学、エルニーニョ、その他の数百の要素を含み、人工衛星で取得したデータ等を取り込むことができるシミュレーションモデルを50テラフロップスを越える計算能力を持つスパコンで稼働させるために準備を行っているとのことである。
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R●西アジア・中東からの土埃によるエアロゾルがモンスーンに影響(2006年9月7日、アメリカNASA)
NASAのLau氏は、エアロゾルについてコンピュータモデルを用いて研究を行っているが、その結果によると、中国西部、アフガニスタン、パキスタン及び中東からの増加した土埃によるエアロゾル及びインド北部からの炭素粒子の排出が、モンスーンの時期より前のチベット高原の北側及び南側斜面上空の大気に集積するが、これらの土埃によるエアロゾルは太陽光を吸収してチベット高原斜面上の大気の温度が上昇し、暖められた空気が上昇すると、インド洋からの暖かい湿った空気がインド北部に流れ込むが、この流れ込んだ空気も暖められ上昇し、その後にさらに新しい空気が流れ込むと言ったポンプのような仕組みが生じるとのことである。また、この空気の流れの結果、モンスーンの位置がヒマラヤに近づき、これによりインド北部での降水が増加し、インド洋での降水が減少し、アジアのモンスーンによる降雨期の長期化および到来時期の早期化がおこるとのことである。
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D○2酸化炭素の地下貯蔵に伴い地底の金属が放出(2006年9月6日、アメリカACS/Environmental Science and Technology誌)
地球温暖化ガスを大気から排除する方法として、回収した2酸化炭素を陸地の地下や海底下に貯蔵する方法が有望視されているが、アメリカのテキサス州ヒューストン近郊にあるアメリカでの最初の2酸化炭素地下貯蔵プロジェクトで得られたデータによれば、貯蔵された2酸化炭素により、地下水のペーハーが6.4から3迄下がり、これに伴い地中の方解石が急速に溶解し、多量の鉄やその他の金属が放出されたとのことである。ただし、この金属の放出については潜在的な危険要素とはなりうるが、金属を含む酸化物や水酸化物の含量は塩水性の帯水層の1%以下であり、このような帯水層は鹹水を千万年という時間スケールで隔離するので、この事実が2酸化炭素の地下貯蔵の障害となることは、貯蔵場所を適切に選定すれば、多分ないだろうとのことである。ただし、2酸化炭素注入井戸は耐酸性のセメントを使用するべきであり、元来長期間持つように設計されていない石油や天然ガス採取井戸跡の利用は避けた方が良いとのことである。また、2酸化炭素の注入に伴う鉱物の溶解及び再結晶については、注入開始初期の鉱物の溶解は注入作業を容易にし、注入終了後の再結晶は岩石の隙間を防ぐことになるので、2酸化炭素貯蔵には有利となるが、注入作業中に再結晶が始まると、注入作業に障害となるので、2酸化炭素貯蔵場所の選定には、2酸化炭素の注入に伴いどのような化学反応が起きるかについても考慮したほうが良いとのことである。
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