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2006年7月のニュース

T○アメリカはアラスカ・アリューシャン列島沿岸を保護区に指定(2006年7月31日、アメリカNOAA)
アメリカはアラスカからアリューシャン列島にかけての279114平方海里(約81400平方km)の沿岸域を保護区に指定した。アリューシャン列島の漁業管理区域では、過去に何度もトロール漁業が行われたような一部の海域を除く大部分で底曳きトロールは禁止される。また、冷水珊瑚の生息域を含む6カ所の小区域ではトロールを含む海底に接触するようなすべての漁具の使用が禁止される。アラスカ湾では大陸棚斜面沿いの10カ所の区域で岩魚の生息域保護のために底曳きトロールが禁止となり、アラスカ南東のFairweather Ground及びOmmaney岬沖の5カ所の小区域では、海底に接触するようなすべての漁具の使用が冷水珊瑚保護のため禁止となる。また、これとは別に15カ所の海域で海山でのユニークな生物生息域を保護するために海底に接触するようなすべての漁具の使用が禁止される。
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D●農業廃棄物よりバイオ燃料を精製(2006年7月28日、アメリカ ISU)
アイオワ州立大学の研究者達は、農場から出る牛の糞尿をトウモロコシの葉茎と混合し、それがバクテリアによって分解される際に自然に発生する熱を利用して乾燥させた後、無酸素の状態で急速に加熱し、肥料として使用可能な炭とボイラー用のバイオ燃料を精製するといったプロジェクトの試行を行っている。アイオワ州立大学のSadaka氏によれば、アメリカの牛の糞尿の半分を用いれば、4500万トンのバイオ燃料が精製できるとのことである。
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T●中国は地震予知のための電磁場観測衛星の打上を考慮(2006年7月28日、中国 新華社通信)
中国国家宇宙局のLuo Ge長官によれば、2010年迄に中国は地震の予知を行うために地表及び電離層の電磁場の変動のモニターを行う実験用衛星が開発できると期待しているとのことである。なお、アメリカ(Quakesat 1)、フランス(DEMETER)及びロシア(Compass 2)は同様の目的の人工衛星を既に打ち上げている。
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-->Compass 2関連の記事を読む<--

T○環境関連のオンライン辞典の著者、編集者募集中(2006年7月26日、アメリカACS/Environmental Science and Technology誌)
アメリカのNational Council for Science and the Environment(編注:環境科学を政策決定に反映させることに重点を置いていると思われるNPO。ホームページは-->ここ<--)は環境に関するウィキペディアのようなオンライン辞典、Encyclopedia of Earthの著者や編集者を募集している。なお、このオンライン辞典はウィキペディアとは異なり、専門家による収録内容のチェックが行われる予定で、利用者としては高校卒業者から博士号取得者までの広い層を考慮している。
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-->Encyclopedia of Earthのページへ移動(Encyclopedia of Earthそのものはまだ出来ていません)<--

R●稲の光合成能力の増加による米の収穫量の増加(2006年7月26日、国際IRRI)
世界全体で30億人以上が米を主食としているが、減少していく資源に対し世界の米の収穫量が確実に増加していかないと、多くの人々が貧困状態に陥る危険があるとのことで、これに対して、International Rice Research Instituteは稲の光合成能力を高めることによって米の収穫量を増加させるという手法に関するワークショップを7月17日から21日にかけて開催する。なお、このような稲の品種が実際に得られるようになるのは、10数年以上先になるとのことである。
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T○人工衛星より珊瑚礁を調査(2006年7月26日、アメリカNASA)
NASAの資金拠出により、Millennium Coral Reef Mapping Projectという人工衛星より得た画像によって珊瑚礁の分布の調査を行うプロジェクトが行われているが、この結果によると、人間の活動を制限している保護海域にある珊瑚礁は世界全体の珊瑚礁面積の2%以下であり、保護区の数は増加しているが、あまり効果的に珊瑚礁が保護されているとは言えないとのことである。また、ほとんどの保護区は珊瑚礁の周辺に生息する魚類の保護を行うには小さすぎるとのことである。
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T○オーストラリアは温室効果ガスの排出削減に乗り出す(2006年7月26日、アメリカACS/Environmental Science and Technology誌)
オーストラリアは世界最大の石炭輸出国で、温室効果ガス排出量は世界全体の1.4%であり、これは人口一人当たりの温室効果ガス排出量としては世界で2番目である。京都議定書によれば、オーストラリアは2012年迄に1990年のレベルより8%の温室効果ガス排出量の増加が認められているが、オーストラリア政府によると、オーストラリアの温室効果ガス排出量は1990年から2004年の期間で2.3%増加した。ただし、エネルギー分野では温室効果ガス排出量は43%増加し、輸送分野では23%も増加している。これに対し、オーストラリアは温暖化に伴う野火の増加、干ばつ、洪水や降水パターンが変わることによる農業への影響等に対し脆弱であり、科学者、健康専門家及び保険業界から政府が温室効果ガス排出削減に対しより強い対策を取ることが要望されている。このような要望に対し、政府は様々なキャンペーンを行っており、また、再生可能なエネルギー源のテストや太陽電池・エネルギー効率の高い技術の普及促進等に対し18億オーストラリアドルの投資を行うことを約束したりしている。なお、オーストラリア政府は京都議定書の批准はまだ行っていない。
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T●中国は津波早期警報システムを設置予定(2006年7月24日、中国 新華社通信)
中国は現在の5カ年計画が終わる2010年迄に南シナ海の警報ブイ及び東シナ海海底の地震モニター用プラットフォームからなる新津波早期警報システムの設置を開始する予定とのことである。
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T○環境保護に配慮したコンピュータ及びモニタ(IEEE1680-2006)が市場に登場(2006年7月24日、アメリカEPA)
コンピュータ機器を大量に購入する組織向けに、環境保護に配慮したElectronic Products Environmental Assessment Tool(EPEAT)規格に適合したコンピュータ機器がApple、DellやHPといった会社より販売されることになった。EPEAT に登録されたコンピュータ機器は、アメリカ政府のエネルギースターのガイドラインに沿っており、かつ、カドミウム、鉛や水銀の含量が少なく、アップグレードやリサイクルが容易にできるようになっている。EPAは次の5年間で、EPEATに登録されたコンピュータ機器により1300万ポンド(約5900トン)の危険な廃棄物、300万ポンド(約1360トン)の危険でない廃棄物及び60万MWHのエネルギーが削減できると推定している。(編注:この規格はIEEE1680-2006で、詳細は-->ここ<--より購入可能)
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R○海底から噴出するメタンガスの地球温暖化への影響(2006年7月19日、アメリカUCSB)
カリフォルニア大学サンタバーバラ校の研究者達は、カリフォルニアのサンタバーバラ水道の小さな海底火山近くで生じたメタンガスの大噴出を水中で観測したが、近くの気象観測所での計測ではこの大噴出によるメタン”雲”は5千立方フィート(編注:約141.6立方m)に達した。同校のLeifer氏によれば、海底からメタンガスが細かな泡となって漏出するような場合は、メタンガスは海面に達する前にほとんど水に溶けるが、このような大規模な噴出が発生した場合は、ほとんどのガスが大気に放出されてしまうとのことである。このサンタバーバラ水道の水深60フィート(18.3m)の海底で生じた大噴出によるガスは7秒で海面に達したが、コンピュータによる数値モデル計算の結果、この噴出ガスの99%は大気に放出されたと見積もられた。また、この数値モデルを用いて同様の大噴出が250mの海底で発生した場合についての計算も行われたが、その場合でも、噴出ガスの大部分は大気に放出されてしまうという結果になった。地質学的な時間スケールでは地球の気候は氷河期と間氷期が繰り返されてきたが、このような変動を引き起こす原因についてはよくわかっていない。このような変動を起こす原因の仮定のひとつは、海洋のメタンハイドレートからのメタンガスの放出である。海底のメタンハイドレートからのメタンガスの泡の発生は世界各地で観測されているが、もし、この泡が個々に海中を上昇していく場合は、海面に到達する前にほとんどのメタンが海水に吸収されてしまうと考えられるが、大噴出のように一度に大量にメタンガスが海底から海中に放出された場合は、メタンガスはほとんど溶解せずに海面に達し、大気に放出されてしまうとのことである。
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-->Global Biogeochemical Cycles誌掲載の論文の要旨を読む<--

T○バイオ燃料の市場での現状(2006年7月19日、アメリカACS/Environmental Science and Technology誌)
環境関連のシンクタンクであるWorldwatch Instituteによれば、世界全体での昨年のバイオ燃料生産量は、最大日産67万バレルに達したが、これは世界全体の燃料需要の1%程度にしかならない。しかし、バイオ燃料の生産量は過去5年間で2倍となっていて、石油価格の高騰や各国政府の政策転換によりバイオ燃料関連の設備投資は増加している。バイオ燃料生産に関しては、現在ではブラジルとアメリカがリーダーとなっており、両国ともバイオエタノールの生産コストはガソリンの生産コスト以下となっていると推定されている。もしこの傾向が続けば、25年以内にアメリカの輸送用燃料の37%はバイオ燃料となり、もし燃料費が2倍になればこの比率は最大75%になる可能性がある。また、EUではこの期間に20〜30%の石油消費がバイオ燃料に置き換えられると考えられる。なお、エタノールやバイオディーゼル燃料の使用は大気汚染や温室効果ガスの排出を抑制するが、これらの燃料は必ずしも環境に全く無害というわけではなく、例えば、燃料用の作物により土壌浸食や水不足がもたらされるかもしれず、Worldwatch Instituteによれば燃料用作物の収穫が持続可能であるようにするために、信頼の置ける国際的な検定法が必要とのことである。
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-->Worldwatch Instituteの報告書を読む<--

T●ヨーロッパでのバイオ燃料(2006年7月19日、アメリカACS/Environmental Science and Technology誌)
ヨーロッパのEuropean Environment Agencyによれば、EUは廃物および農作物より、種多様性や土壌・水資源に負担をかけることなく再生可能なエネルギー生成目標を達成できるとのことである。
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-->報告書をダウンロード(pdfファイル2.3MB)<--

R●トウモロコシの茎を用いて発電(2006年7月19日、アメリカPSU)
アメリカのペンシルバニア州立大学の研究者達は、トウモロコシの収穫後通常は畑に放置される茎や葉を真空中で破裂させ、それを微生物に与えて発電する方法を研究している。なお、トウモロコシの茎や葉といった廃物はアメリカの年間の固形廃棄物の1/3にあたる2億5千万トン発生するとのことである。
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-->Energy and Fuels誌掲載の論文の要旨を読む<--

T●子供から大人迄楽しみながら海について学べるようなポータルサイトOceansLiveを開設(2006年7月18日、アメリカNOAA)
アメリカのNOAAは、ビデオ、パズルやゲームを含んだ、子供から大人迄楽しみながら海洋学、海洋生物、海洋環境保護、海洋技術やアメリカの海事遺産等について学べるようなポータルサイトOceansLiveを開設した。
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-->OceansLiveに移動<--

T●燃料電池使用の公共バスが中国北京で運用(2006年7月18日、中国 新華社通信)
水素を用いた燃料電池使用の公共バス3台が北京市内の18.2kmの区間で運用されることになった。なお、北京では今後水素供給ステーションの設置が拡大され、また、上海にも3台の燃料電池使用公共バスが投入される予定とのことである。
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T●プランクトンのデータベースサイトが開設(2006年7月17日、ドイツAWI)
ドイツのAlfred Wegener Instituteはプランクトンの分類に役立つような、500種以上のプランクトンの3000以上の画像を含む無料でアクセス可能なデータベースのサイトを開設した。
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-->ドイツのサイト(言語は下のフランスのサイトと共に英語だが、構成が下とは異なる)<--
-->フランスのサイト<--

T○アラスカで海底のデリケートな生物生息域を保護するために漁船の位置を監視(2006年7月17日、アメリカNOAA)
アメリカのアラスカ周辺の広い海域では、冷水珊瑚や一度漁具等でダメージを受けると復旧に長期を要するようなその他のデリケートな生物の生息域を保護するために、海底に接触するような漁具の使用が禁止されているが、アリューシャン列島周辺海域で連邦政府の許可を受けて底魚やカニを捕獲する漁船は、7月28日より人工衛星を介して自船の位置や識別符号を定期的に通報する装置を設置することが義務づけられている。この通報装置設置義務はアラスカ州の要許可海域で操業する漁船には現在は適用されないが、アラスカ州は同様の法を制定することを考慮しているとのことである。
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T●NOAAはハワイ諸島への漂着ゴミの処分を開始(2006年7月17日、アメリカNOAA)
アメリカのNOAAはヘリコプターを用いてハワイ諸島の海岸に漂着したゴミの調査を行ったが、その結果によれば計711地点で25万トン以上のゴミがあり、このほどその一部の推定129トンのゴミの除去を開始した。
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-->NOAAの海洋のゴミに関するプログラムのホームページに移動<--

T●中国は大規模な海洋環境調査を開始(2006年7月15日、中国 新華社通信)
中国は自国周辺の102万平方kmの海域を2年かけて水深、波浪、水位、海流、水温、海色、含有鉱物及びプランクトンの調査を行うとのことである。
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T○今年の前半のアメリカは記録的な暖かさ(2006年7月14日、アメリカNOAA)
2006年の1月から6月迄のアラスカを除くアメリカの大陸部の平均気温は11.0度Cで、これは1895年に記録が開始されてから最も高温であり、20世紀の平均より1.8度C高かった。6月の平均気温は記録上2番目に高く、ケンタッキー、オハイオ、ペンシルバニア、西ヴァージニア及び南カロライナ州のみ平均以下であった。アラスカについては、1月から6月迄の平均気温は1971年から2000年迄の平均気温より0.3度C低く、6月の平均気温は1971年から2000年迄の平均並であった。6月のアラスカを除くアメリカの大陸部の平均降水量は20世紀の平均に比べ8mm少なく、45%の地域で普通から強程度の干ばつ状態で、27%の地域は非常に強い干ばつ状態であった。1月から6月迄の期間では、この高温・乾燥状態によりアメリカの大陸部で5万件の山火事が発生し、300万エーカーの土地が燃えた。ただし、アメリカ北東部では6月の最後の週に豪雨があり、洪水が発生した。なお、世界全体では海洋上を含む気温は1880年に記録が開始されてから2番目に高温であり、20世紀の平均より0.6度C高かった。
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R●パプアニューギニア周辺の熱水鉱床での貴金属等の商業探査(2006年7月14日、アメリカWHOI)
アメリカのウッズホール海洋研究所はカナダのNautilus Minerals社と共同で、公的資金による研究および、民間資金による商業探査として、パプアニューギニア沖の熱水鉱床およびその周辺のマッピング及び鉱物探査を無人潜水機等を用いて7月21日より一ヶ月強に渡って行う予定とのことである。なおNautilus Minerals社はパプアニューギニア領海内の鉱物採掘権を保持していて、熱水鉱床の商業採掘を試みる最初の会社とのことである。
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R○汚染された大気が雲の発生を通して気候に与える影響(2006年7月13日、アメリカNASA/JPL)
アメリカのNASA及びイスラエルのWeizmann Institute of Scienceの研究者は、大気汚染物質である大気中の浮遊粒子が雲の発生を通して気候に与える影響についての研究をおこなったが、その結果によると、これらの浮遊粒子の色が濃く太陽光を吸収しやすい場合は雲の発生が阻害され、色が淡く太陽光を吸収しにくい場合は逆に雲の発生が促されるとのことである。また、この浮遊粒子の効果により地球全体で雲に覆われる部分が最大5%増加し、汚染された地域では気温や降水に影響を与えるかもしれないとのことである。なお、雲は地表に雨を降らすだけではなく、太陽光の反射や、地表からの放射の吸収を通して気候に影響を与える。
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-->Weizmann Institute of Science発表の記事を読む<--
-->Science誌掲載論文の要旨を読む<--

R●過去300年間の地表利用の変化(2006年7月13日、アメリカUNH)
アメリカのニューハンプシャー大学、プリンストン大学及びウッズホール研究所の研究者達は過去300年にわたる期間に人類が地表をどのように利用してきたかについて歴史資料、人工衛星によるデータ及びコンピュータによるモデルを用いて調査を行ったが、その結果によると地球全体の地表の42〜68%がなんらかの影響を受けたとのことである。ニューハンプシャー大学のHurtt氏によれば、人類の地表を利用する諸活動は、大量の2酸化炭素を大気に放出し、地表の太陽光反射率の変化や植物の生息域の変化・破壊をもたらしていることが知られているが、この地表利用状況データは、次世代の2酸化炭素収支が含まれた気候モデルにおいて農林業活動や遊休地の遷移といった情報を含んだ地表利用の変化に関する情報を取り込むことを可能にし、科学的に有用なだけではなく、2酸化炭素に関する政策決定などに対しても有用とのことである。
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-->Global Change Biology誌掲載論文の要旨を読む<--

T○両生類の保護(2006年7月10日、アメリカSTRI)
両生類の生息数は、生息域の減少、外来種の進出やBatrachochytrium dendrobatidis(Bd)菌による病気で世界中で減少しており、5743種の内32.5%が絶滅の危機に瀕し、1980年より最低でも9種、推定122種が絶滅した。特にBd菌については、この菌が到来して4〜6ヶ月以内に両生類の生息数の80%、種の50%が消滅するとのことである。このような状況に対し、17ヶ国からの43人の専門家によって両生類の保護に関する記事が執筆されたが、この記事のなかで、両生類の保護を行うために広範な官民の組織や個人から構成される国際的な組織を発足させることが提案されている。
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-->Science誌掲載の記事の要旨を読む(1行;本文全体のダウンロードは有料)<--

R○アルプスの氷河は今世紀末迄にほとんど消滅の危機(2006年7月10日、スイス チューリッヒ大学)
スイスのチューリッヒ大学の研究者が数値モデルで行ったシミュレーションの結果によると、アルプスの氷河は夏期の気温が3度C上昇すると80%消滅し、5度C上昇すると2100年迄にはほとんど消滅するとのことであるが、このような氷河の大幅な減少が水収支や管理、観光や自然災害といった事項に与える影響について考慮する必要があるとのことである。チューリッヒ大学のZemp氏及びその同僚によると、1970年代にはアルプスの約5150の氷河は計2909平方kmの地表を覆っていて、これは1850年当時より35%の減少であったが、異常に暖かであった2003年に生じた5-10%の氷の体積の減少を含め、現在は1850年当時より50%の減少となっているとのことである。
Intergovernmental Panel on Climate Changeによると、1-5度Cの夏期の気温上昇及び20%減-30%増の降水量の増減が21世紀末までに生じると考えられているが、チューリッヒ大学の研究者によれば、アルプスの氷河が存続するには夏期の平均気温が1度C上昇すると、降水量は25%増加しなければならないとのことである。
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-->関連記事1を読む<-- -->関連記事2を読む<-- -->関連記事3を読む<--

R●深海での大型生物の小型化及び小型生物の大型化(2006年7月10日、アメリカMBARI)
陸上の生物が孤島に非常に長い期間隔離された場合の進化については、生息域や食物の減少、捕食者や食物を得る際の競争の減少に伴い大型生物は小型化し、小型生物は大型化する傾向”island rule”があることが知られている。アメリカのモンテレー湾水族館研究所の研究者は海洋の浅海にいる巻貝と同種ではあるが深海に隔離された巻貝のサイズを比較し、このような規則が海洋の生物についても適用できるかどうか調べたが、その結果によると、island ruleは海洋の生物についても概ね適用できるが、生物のサイズの進化を決める重要な要素は食物が得られるかどうかとのことである。
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-->Journal of Biogeography誌掲載論文の要旨を読む<--

R●バイオ燃料は大豆から生成するほうがトウモロコシから生成するより有利(2006年7月10日、アメリカ ミネソタ大学)
アメリカのミネソタ大学の研究者は、トウモロコシ及び大豆よりバイオ燃料を生成する際に、植物の育成過程も含めて必要となる全てのエネルギーおよび、環境に排出される温室効果ガスや汚染物質について調べたが、その結果によると、大豆のほうがトウモロコシに比べ大幅にエネルギーが多く得られ、また、大豆のほうが環境に与える影響が少ないとのことである。なお、バイオ燃料は燃料として用いられるだけでなく、ガソリン等への添加剤としても有効である。
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T○アメリカEPAは石炭利用発電の新技術について検討(2006年7月7日、アメリカEPA)
アメリカEPAはIntegrated Gasification Combined Cycle(IGCC)と呼ばれる、石炭を部分的に燃焼させ発電する新技術に基づく発電が環境に与える影響についての技術報告書を発表したが、これによるとIGCCにより大気汚染、水の使用量及び固形廃棄物の減少が可能であり、また、2酸化炭素や温室効果ガスの捕捉がより低コストで行える可能性があるとのことである。なお、米国は50%以上の電力を石炭使用の火力発電によって得ているが、IGCCによる発電所は現在2カ所のみである。
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R●水中のイオンとミネラルの結合(2006年7月6日、アメリカANL)
アメリカのアルゴンヌ国立研究所の研究者達は強力なX線を用いて水中のミネラル自体及びその表面に同一のイオンが同時に結合されることがあることを発見した。水は栄養塩から汚染物質にいたる様々な物資を溶かし込めることができるので、水中のイオンとミネラルがどのように結合されているかを理解することは水に溶存する物質の輸送の制御や水質管理等において重要である。
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T○海洋哺乳類保護のためにアメリカ海軍の高出力ソナーの使用が制限(2006年7月6日、アメリカNational Geographic誌)
環境保護団体がアメリカ海軍に対して起こした訴訟により、アメリカ海軍はハワイ沖で行われている演習(編注:日本も参加しているRIMPACの模様)で高出力ソナーを使用することが一時的に禁止された。現在はアメリカ海軍は、この裁判所の命令に従い自ら音波を出さない受動タイプのソナーのみを用いて演習を行っているが、この命令の取り消しを求めて控訴しているとのことである。
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-->2004年のRIMPAC期間中に起きた鯨の集団座礁に関するNOAAの報告書のニュース(PDF)のダウンロード<--

R●地球温暖化によりアメリカ西部での山火事が増加(2006年7月6日、アメリカSIO)
カリフォルニア大学サンディエゴ校のスクリップス海洋研究所およびアリゾナ大学の研究者が1970年から2003年迄の期間に発生したアメリカ西部での大規模な山火事と気候変動との関連について研究を行ったが、その結果によると、
春ー夏期の気温の上昇と春の到来の早期化による乾燥化がアメリカ西部での大規模な山火事の増加に関連しているらしいとのことである。なお、アメリカ西部での大規模な山火事は1987年以後に大きく増加したとのことである。
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-->Science誌掲載の論文の要旨を読む<--

T●ドイツはアメリカ主導の"メタンを市場に"協力体に参加(2006年7月6日、アメリカEPA)
ドイツはアメリカが主導する"メタンを市場に"協力体(Methane to Markets Partnership)の18番目のメンバーになった。"メタンを市場に"協力体の目標は、地球温暖化ガスであるメタンを大気に放出せずにエネルギー源として利用することであり、日本も参加している。
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-->"メタンを市場に"協力体の一般的な情報を読む<--

R●人工衛星により南米大陸の水収支の季節変化を観測(2006年7月5日、アメリカNASA/JPL)
QuikScat、Grace及びTRMMという3個の人工衛星を用いてNASA/JPLの研究者は、南米大陸の水収支の季節変動の直接観測を行ったが、降雨や降雪によって大気から大陸に加えられた水の量は河川によって大陸から海洋に流れ出す水の量とバランスしているとのことである。また、今迄に大陸の水収支を直接測定することは不可能であり、陸上での観測とコンピュータによるシミュレーションを用いて大陸の水収支の推定を行っていたので、このような結果が得られたことは大変重要とのことである。なお、QuikScatは風を、TRMMは降水量を、Graceは質量の変化に伴う重力変化を観測するが、このうちGraceのデータについては、NASA/JPLの研究者は陸上での河川流量観測及びコンピュータによるシミュレーションの結果との比較を行い、それによると質量の季節変化は主に地上及び地下の水量の変化によるとのことである。
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T●EUでの2酸化炭素の価格下落が環境政策に影響(2006年7月5日、アメリカACS/Environmental Science and Technology誌)
2酸化炭素取引市場は2005年1月に開設されて以来比較的スムースに運用されてきたが、昨年のヨーロッパの各国の2酸化炭素排出量が割当量よりかなり少なかったため、今年の4-5月には大きく下落した。これにより、各企業において、2酸化炭素の排出を削減し、余った割当量を売却して利益を上げようとする意欲が削がれる恐れがでてきた。
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R●海水が変化すると珊瑚の骨格の組成も変化(2006年7月5日、アメリカ ジョンスホプキンス大)
珊瑚は骨格を生成する炭酸カルシウムを通常はアラゴナイトより得るが、ジョンスホプキンス大の研究者は、珊瑚を人工海水で生育させるという実験を行った結果、海水のマグネシウムのカルシウムに対する比率を減らすと、珊瑚は変化した環境に対応して、炭酸カルシウムをカルサイトから得るようになることを発見した。ただし、カルサイトから炭酸カルシウムを得るようになった珊瑚はその生育速度がかなり減少するとのことである。
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R○大気中の2酸化炭素増加がもたらす海洋の酸性化による生物への悪影響(2006年7月5日、アメリカUCAR)
最近発表された報告書"Impacts of Ocean Acidification on Coral Reefs and Other Marine Calcifiers"によると、1800年から1994年迄の期間において、世界全体で1880億トンの炭素が海洋に吸収されたとのことである。海水は通常は弱アルカリ性であるが、2酸化炭素との化学反応により酸性化し、この酸性化により珊瑚礁の構築や多くの海洋生物の骨格に必要な炭酸カルシウムが減少する。マイアミ大学の研究者が行った研究によると、海水の酸性化により珊瑚の成長速度や骨格の密度が減少し、浸食に対して珊瑚礁の構築が追いつかなくなり、珊瑚礁が危険に晒されるかもしれないとのことである。また、炭酸カルシウムの骨格をもつプランクトンも酸性化による悪影響を受けるが、これらの生物は鮭、鯖、鰊や鱈といった魚類の重要な餌であり、こういったプランクトンがその数を維持できなくなると、食物連鎖網に影響を与え、結果として、種の多様性や海洋の生産性に大きな影響を与える可能性があるとのことである。なお、この報告書では海洋の酸性化の影響についてのさらなる研究を行うことが推奨されている。
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R○ニューイングランドのロブスター漁に対する規制の向上(2006年7月5日、アメリカWHOI)
アメリカのウッズホール海洋研究所の研究者であるKite-Powell氏及び元ロブスター漁師のAllen氏はコンピュータによるモデルを用いてロブスター漁に影響を与える種々の生物的及び経済的な要素について調査したが、その結果によると、漁獲が許可されるロブスターのサイズの規制については緩和するが、捕獲用のしかけの数は減らすほうが、ロブスター漁の持続性、ロブスター漁による収入の増加及び捕獲用のしかけのロープに鯨やその他の海洋生物が絡まる危険を減少させるのに有効とのことである。
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