このページは当時業所運営者の過去の研究、業務実績の一部をご紹介するページです。

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(a)論文タイトル:Oceanographic Conditions near the Spawning Ground of Southern Bluefin Tuna; Northeastern Indian Ocean 雑誌名:日本海洋学会英文誌 1997 著者:松浦浩、杉本隆成、中井宗範、辻祥子

(b)論文タイトル:拡散係数が時間及び空間の関数である場合の1解析解 雑誌名:海洋科学技術センター試験研究報告 1997 著者: 松浦浩

南マグロ産卵場海域付近(オーストラリア、北西大陸棚)で行われたCTD、クロロフィル鉛直分布の観測及び漂流ブイの軌跡の解析を行った。

南マグロについては、過去の研究よりその産卵場はオーストラリア北西大陸棚付近であるが、稚魚は西オーストラリア沿岸に分布することがわかっている。しかし、卵稚子がどのようにして、産卵場から西オーストラリア沿岸に移動するのかについてはわかっていない。南マグロ資源管理を有効に行なう為には、卵稚子の移動のメカニズムを把握する必要がある。本研究はこの卵稚子の移動と産卵場付近の流れとの関連を調べるために行なった。

CTDのデータにより、観測時期には同海域の表層は高温低塩分の太平洋起源の赤道水に覆われていたが、その下には、熱帯東インド洋水が北方(赤道近く)に、亜熱帯東インド洋水が南方に広がっていた様子が水塊分析により示された。表面混合層の厚さは、20-50mであり、クロロフィル量は小であるが、混合層の底よりやや下からクロロフィル量は急激に増加、75m前後の深さで極大に達し、その下で急激に減少する。漂流ブイは計5個同海域に放流されたが、それらの軌跡は平均して0.06m/sで西向きであった。これらの軌跡によりラグランジュ拡散係数を求めた。この係数は、放流後、時間0よりほぼ直線的に増加するが、時間とともに増加傾向は減少し、約150時間後にほぼ一定値となった。この結果を用い、半無限平面の拡散方程式(移流項を含む)の解を求め、それに代入し、粒子(卵)がどの程度オーストラリア沿岸域にとどまるかを調べた。その結果死亡率を無視した場合は、約0.8%の粒子がオーストラリア大陸北西端で沿岸域にとどまり、拡散係数の増加は最初は粒子残存率の増加をもたらすが、さらなる増加は粒子残存率の減少をもたらすことがわかった。また移流速度の減少も同様の効果をもたらすことがわかった。なお、この半無限平面の拡散方程式は拡散係数が境界からある距離まで直線的に増加し、また、ある時間まで直線的に増加するものである。

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論文(b)のダウンロードはこちらへ。(英文です。)